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KREVA 20年以上活躍、ローンで買ったサンプラー

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NIKKEI STYLE

ヒップホップアーティストのKREVAさんが、ソロ活動15周年を迎えた。今では珍しくなくなったヒップホップだが、メジャーな存在へと押し上げるのにKREVAさんが果たした功績は大きい。そんなヒップホップ界のベテランが19歳のころに購入したサンプラー(音源を取り込んで再生する装置)「AKAI MPC3000」。1994年に発売され、世界中のミュージシャンに愛用されてきた名機は、二十余年を経た今もKREVAさんのクリエーティビティーを支えている。

音楽のプロになるためにローンで買った名機

この「AKAI MPC3000」は、僕が購入したころすでに、ヒップホップやダンスミュージックかいわいで、いい機材だと評判でした。当時僕は洋服屋さんでアルバイトしていて、そこの店長がDJもやっていて、これを持っていたんです。自分が一緒に活動していたグループのDJも使っていました。この先、音楽のプロとしてやっていくために必要な、買うべきものだと思いました。

とはいえ、約30万円もする機械です。10代の僕には高額すぎる買い物です。渋谷の「えちごやミュージック」という楽器店で、「ローンが組めるよ」と教えてもらったのですが未成年で学生の僕は審査に通るはずがない。店から母親に電話して「機材を買うためにローンを組みたいんだけど、親の承諾が必要なんだ」と説得して、なんとか手に入れました。今思うと、人生で初のローンでしたね(笑)。

大きな買い物でしたが、倍返し以上にたくさんのものを返してくれました。KICK THE CAN CREW初期の作品のほとんどで、これを使っていましたし、今も現役です。ただ、20年以上も使い続けたので、ところどころさびたり、故障して動かないボタンも出てたりしてしまいました。それで昨年、ビンテージ機材の修理やカスタムペイントをしている方にお願いしてメンテナンスしました。色もマットな黒に塗りなおしてもらい、小さくて見にくかった画面をLEDに替えるなどして完全に生まれ変わりました。音は変わることなく、修繕したことで今まで使えてなかったボタンをストレスなく操作できる。今までは流れを途切れさせたくなくて、使いにくいところは無意識に避けていたことに気づかされました。

「AKAI MPC」シリーズは、この3000をはじめ結構持っています。4000が出たときは、発売日に即金で買いましたし(笑)、後継機も1000と500を購入、2500は会社からプレゼントでいただきました。ですが、結局よく使うのは3000や4000です。オーバーホールしてからは3000のほうが出番は増えました。

独特のノリが気に入ってます

このMPC3000には独自のノリがあるんです。昨今の楽曲制作はコンピューターですべて完結させることも多いですが、コンピューターで作る音には遊びがない。でも、作った音を「AKAI MPC3000」に通すことで……数字でいえば1.0が1.0004や1.0001になるような微妙な「ゆらぎ」が生まれる。昔から「独自のノリがある」と都市伝説みたいにいわれていましたが、調べたらその通りの結果が出た。ビット数で言うと最近の機材は32ビット、もしくは24ビットで、3000は16ビットと少しだけ荒い。それがいい意味でざらつきや味になるので、いいフィルターになる。かといって、「揺れ」までの大きな変化ではなく、むしろずれもない。心地よい後ノリがかかるのが気に入っているし、一番求めているところでもありますね。

最新作「AFTERMIXTAPE」でも活躍しています。「One feat. JQ from Nulbarich」で、自分が歌い出すところのドラム音は3000です。「Don't Stop Y'all, Rock Rock Y'all」は、4~5年前に作った音源をノリと鳴りが欲しかったので3000に入れ直しました。宇多丸さん(ライムスター)と小林賢太郎さんに参加してもらった「それとこれとは話がべつ!」は、小林さんが出てくるパートのドラムを3000で取り直しました。それ以前の僕と宇多丸さんとは、鳴りやノリが違ったものになりました。

技術の進歩にワクワク

僕のように楽器は弾けないけれど、音楽をやりたい人に技術の進歩はありがたい。ある人が、「音楽の変化は機材の進化に比例する」というようなことを言われていて、それは自分にすごく響きました。機材やテクノロジーの進歩にしっかりついていくことで、面白いものを生み出せるのではないかなと思うので、自分に課している部分はあります。数年前、音のデータをウェブページにドラッグ&ドロップするだけで、人工知能(AI)が瞬時に音を解析してマスタリングしてくれるサービスに出合ったときは「うわ、未来が来た!」って興奮しました(笑)。もちろん、買ったものの使わずじまいということも多いし、逆に3000のような名機の良さを再認識することもあります。

ここ数年で特に面白いと感じているのは、サンプルソースのクラウドバンク。サンプリングする元ネタが、定額制で提供されるサービスです。登録すると、サンプルソースやシンセサイザーの新しい音やフレーズが毎週どんどん追加されていく。今回の作品は、そこから引っ張ってきたり、それに触発されたりして生まれたものも多いです。

今は知ろうという意欲があれば誰でも音楽が作れる時代。プリンスだったか誰だったか、「ミュージシャンは曲ができたときに出てくる脳内物質のとりこになって、曲作りをやめられないんだ」と言っていましたが、まさにそうだなと思うんです。その感覚を少しでも多くの人に体感してほしいし、僕がこうして口に出して言うことで興味を持ってもらえたらいいですね。

「AFTERMIX」と「MIXTAPE」を合体させたタイトル

アルバムタイトルの「AFTERMIXTAPE」には、音楽をラフに作って発表するという意味も込められているんですよ。もともとMIXTAPEは、DJが世に知られてない曲や知ってほしい曲をテープにひとつなぎにしたもので、今でいうプレイリストに近いものでした。いつしかメディアが変わり、目的も変わりながらMIXTAPEという言葉だけが残った。近年では、「アルバムは出してない。自分が出しているのはミックステープだ」と公言し、全米1位を獲ったミュージシャンすらいます。「AFTERMIXTAPE」は、心のままに、勢いを大切にした作品で、結果的に今まで自分がやれてなかったことに挑戦できました。

少し話はそれますが、「AFTERMIX」というワードも以前から気になっていて、使いたかった言葉。僕はコーヒーが好きで、コーヒーの生豆を種類ごとにそれぞれベストな焙煎(ばいせん)を施し、その後でブレンドする手法を「AFTERMIX」と呼ぶことを知りました。手間はかかりますが、その分おいしいブレンドコーヒーになるんです。音楽を作る過程で、「この曲は●●さんにミックスしてもらおう」「あの曲だったら□□さんがいいな」と、自分がやっていることも同じだなと。「AFTERMIXTAPE」は「AFTERMIX」と「MIXTAPE」が合体した名前なんです。

そうやって、アイデアの芽を膨らませて洗練させていく。曲作りは僕にとって今も昔もずっと面白いし、飽きることがありません。最近は、その楽しさをもっと多くの人と分かち合いたいと思うようになりました。エデュケーションとエンターテインメントを掛け合わせた「エデュテインメント」という言葉がありますが、幸いにも僕は説明したり人に伝えたりするのが得意なタイプ。なので、今後はライブなどを通じて楽しみながら音楽を教える機会をもっと増やしていきたいですね。

KREVA
 1976年生まれ、神奈川県生まれ東京都育ち。慶応義塾大学在学中から音楽活動をスタート。1997年に3人組ヒップホップユニット、KICK THE CAN CREWを結成。数々のヒット曲を放ち、2002年に「紅白歌合戦」に出場。2004年からソロ活動を始動。2006年のアルバム「愛・自分博」はアルバムチャート1位を獲得。同年に開催した日本武道館ワンマンライブとともに、邦楽におけるヒップホップソロアーティスト初の快挙となった。2019年9月26日に横浜アリーナで「908 FESTIVAL 2019」を開催する。最近ハマっているのは、「植物感があるプレミアムテキーラで作るハイボール」だという。

AFTERMIXTAPE

 ソロデビュー15周年を記念して1月から9か月連続リリースを敢行。その締めくくりに創られた即時性と実験性を備えた作品。高いスキルに裏打ちされたパワフルなラップを堪能できる楽曲から、メロディックで聴き心地の良いナンバー、心励ますメッセージなど懐深い全12曲。ビクター/初回盤A 4908円(税別)

(文 橘川有子、写真 藤本和史)

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