KREVA 20年以上活躍、ローンで買ったサンプラー

独特のノリが気に入ってます

このMPC3000には独自のノリがあるんです。昨今の楽曲制作はコンピューターですべて完結させることも多いですが、コンピューターで作る音には遊びがない。でも、作った音を「AKAI MPC3000」に通すことで……数字でいえば1.0が1.0004や1.0001になるような微妙な「ゆらぎ」が生まれる。昔から「独自のノリがある」と都市伝説みたいにいわれていましたが、調べたらその通りの結果が出た。ビット数で言うと最近の機材は32ビット、もしくは24ビットで、3000は16ビットと少しだけ荒い。それがいい意味でざらつきや味になるので、いいフィルターになる。かといって、「揺れ」までの大きな変化ではなく、むしろずれもない。心地よい後ノリがかかるのが気に入っているし、一番求めているところでもありますね。

「MPC3000には独自のノリがあるんです」

最新作「AFTERMIXTAPE」でも活躍しています。「One feat. JQ from Nulbarich」で、自分が歌い出すところのドラム音は3000です。「Don’t Stop Y’all, Rock Rock Y’all」は、4~5年前に作った音源をノリと鳴りが欲しかったので3000に入れ直しました。宇多丸さん(ライムスター)と小林賢太郎さんに参加してもらった「それとこれとは話がべつ!」は、小林さんが出てくるパートのドラムを3000で取り直しました。それ以前の僕と宇多丸さんとは、鳴りやノリが違ったものになりました。

技術の進歩にワクワク

僕のように楽器は弾けないけれど、音楽をやりたい人に技術の進歩はありがたい。ある人が、「音楽の変化は機材の進化に比例する」というようなことを言われていて、それは自分にすごく響きました。機材やテクノロジーの進歩にしっかりついていくことで、面白いものを生み出せるのではないかなと思うので、自分に課している部分はあります。数年前、音のデータをウェブページにドラッグ&ドロップするだけで、人工知能(AI)が瞬時に音を解析してマスタリングしてくれるサービスに出合ったときは「うわ、未来が来た!」って興奮しました(笑)。もちろん、買ったものの使わずじまいということも多いし、逆に3000のような名機の良さを再認識することもあります。

「技術の進歩にワクワクしています」

ここ数年で特に面白いと感じているのは、サンプルソースのクラウドバンク。サンプリングする元ネタが、定額制で提供されるサービスです。登録すると、サンプルソースやシンセサイザーの新しい音やフレーズが毎週どんどん追加されていく。今回の作品は、そこから引っ張ってきたり、それに触発されたりして生まれたものも多いです。

今は知ろうという意欲があれば誰でも音楽が作れる時代。プリンスだったか誰だったか、「ミュージシャンは曲ができたときに出てくる脳内物質のとりこになって、曲作りをやめられないんだ」と言っていましたが、まさにそうだなと思うんです。その感覚を少しでも多くの人に体感してほしいし、僕がこうして口に出して言うことで興味を持ってもらえたらいいですね。

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