介護した義父の遺産、もらえる? 認定のハードル高く弁護士 志賀剛一

「親族」でなければなりませんので、相続開始前に離婚した人、配偶者の死後に姻族関係終了届(いわゆる「死後離婚」)を出した人はすでに姻族ではなくなってしまっているため、この請求をすることができないので注意が必要です。

協議がととのわない場合は家裁に

特別寄与料の権利行使は、まず介護をした嫁などの特別寄与者が相続人に対し、特別寄与料を請求し、協議します。当事者間で協議がととのわない場合には、特別寄与者は家庭裁判所に「協議に代わる処分」を請求することができます。

家裁は寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額などの事情を考慮して、特別寄与料の額を決めることになります。

なお、特別寄与者は相続人に対して金銭の請求ができるだけで、自身が相続人になるわけではないので、相続人間の遺産分割調停などには参加できません。

被相続人の財産「維持または増加」したか

特別寄与料の制度はこれまで光の当たらなかった「長男の嫁」の貢献に報いる制度としてメディアなどでも好意的に取り上げられています。そんな流れに水を差すようで申し訳ないのですが、私はこの制度がはたしてどれだけ機能するのか、やや懐疑的な見方をしています。

特別寄与料は始まったばかりの制度であって、まだ事例の蓄積がありません。しかし、寄与分の制度と同じ基準で判断がなされるものと思われますので、ここからは相続人の寄与分の話をいたしますが、家裁では寄与分をなかなか認めてくれないのです。

よく勘違いされやすいのですが、寄与分は「自分が被相続人に対していかに貢献したか」ではありません。寄与行為によって、被相続人の財産が「維持または増加」したことが必要なのです。「毎日見舞いに行って話し相手になっていたので、寄与分を主張したい」と話す人がしばしばいますが、それは被相続人の財産の維持や増加に寄与したことになりません。

また、「特別の寄与」がなければなりません。被相続人との身分関係に基づいて通常期待されるような程度を超えるような貢献でなければ、この要件を満たしません。

適用条件、非常に厳しく

寄与分はいくつかの類型があります。相談のケースのように、脳梗塞の義父を長年にわたり介護した場合は「療養看護型」といわれる類型に含まれます。つまり、被相続人の医療費や看護費用の支出を避けることによって相続財産の維持増加に貢献したということになれば寄与分が認められることになります。