低リスク型投信に脚光 値動き小さく、初心者向きQUICK資産運用研究所 清家武

写真はイメージ=123RF
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「老後資金2000万円問題」をきっかけに老後に備えて自分で資産形成をすることの大切さを感じた人は少なくないだろう。長期の資産形成を後押しする制度として少額投資非課税制度(NISA)や個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」などがそろうが、米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題などで相場が乱高下する局面をみると、初心者にとって投資のハードルは依然として高いかもしれない。

資産形成をしたいが「値動きに一喜一憂したくない」「多額の損失を抱えることに耐えられない」といった人に向くとされるのが「低リスク型」の投資信託だ。基準価格のぶれ幅を示す標準偏差が3%以下の低リスク型投信の資産残高は2019年8月末時点で約3.2兆円と5年前に比べ2倍になった。

標準偏差が3%とは平均的な年間リターンを0%と仮定した場合、基準価格の年間騰落率が約68%の確率でマイナス3~プラス3%の範囲に収まり、約95%の確率でマイナス6~プラス6%の範囲に収まることを意味する。逆に言えば年間で6%以上下落する確率はかなり低いことになる。投信を投資対象ごとに分類したファンドタイプ別でみると、標準偏差3%は「国内債券型ファンド」と同程度のリスク水準だ。

低リスク型投信が注目される一例として、制度や政策面での動きが挙げられるだろう。14年1月に始まったNISAでは、含み損を抱えると運用益が非課税になるというメリットが生かせない。16年1月に新設された「ジュニアNISA」は子どもの教育資金などの準備としての活用が期待されているが、多額の損失を抱えると子どもが進学できない事態になりかねない。こうしたことからも低リスク型投信は注目できる。

また金融庁が行政方針として「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)」の徹底を掲げたことも大きい。金融機関は従来、手数料収益を増やすため顧客に投信の短期買い替えを勧めがちだったという指摘がある。金融庁の要請に応じて、金融機関は顧客からライフプランを聞いたうえで将来の目標実現に向けて資産管理・運用をサポートする資産管理型営業にシフトしつつあり、中長期投資につながりやすい低リスク型投信の販売に力を入れているという。

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