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想定外の異動でも「チャンスをもらった」と前向きに考えたい。写真はイメージ=PIXTA

想定外の異動でも「チャンスをもらった」と前向きに考えたい。写真はイメージ=PIXTA

変化のスピードが速い昨今、「過去の成功体験」「長年積み上げたキャリア」が通用しない状況となっています。そうした中、異なる部署を経験したり、複数の勤め先をへていたりといった「非連続なキャリア」を歩んできた人たちがベンチャー企業の成長の立役者となるケースが多く見られます。今回は、これからの時代のキャリアの築き方をテーマにお話しします。

「同じ会社の同じ部署に20年勤務し、専門性を高めてきました」――。このような「垂直型」のキャリアの人は、転職活動に踏み切ったとき、非常に苦戦するという現実があります。ストレートに表現すると、「転職市場において価値を認められにくい」のです。

今は変化のスピードが激しい時代。所属する組織、職場環境、担当する業務やプロジェクトなどにおいて「大きな変化」を経験していない、もしくはそういった機会に恵まれなかった人は、昨今の環境変化に適応できないとみなされやすいからです。しかも、20年にわたって専門のキャリアを積み上げても、そのノウハウは新しい時代には通用しなくなるということも現実的に起こりうるのが今の環境です。

「既存の手法・ノウハウの価値が低下している」という事象は経営の現場でも起きています。経営のコア部分にいる、あるいはそのポジションを目指すビジネスパーソンたちが、こぞってMBA(経営学修士)の取得に向かった時期がありました。2000年代前半頃、欧米の大学院へのMBA留学がブームに。その後、国内の大学院でも続々とMBAプログラムが設置され、働きながら平日夜間・休日を利用してMBA取得を目指せるようになりました。

しかし、近年はグローバルで見ても、かつてほどにはMBAの取得意欲が高くはないといわれます。その背景には経営環境の急激な変化があります。そもそもMBAプログラムとは、事業運営や組織づくりなど、様々な経営課題について、ケーススタディーを通じて解決策を学ぶもの。成功企業のノウハウを自社の経営に取り入れることを目的に学ばれてきました。

今、欲しいのは、変化に対応できる「非連続のキャリア」経験者

ところが、今はあらゆる業種で商品・サービスのコモディティー化(高付加価値を持っていた商品の差別化特性が失われ、市場価値が低下すること)、課題の細分化が起きています。過去の正攻法はすでに通用しなくなっているので、ケーススタディーを学ぶ価値が薄れたという見方があるのです。

これからの時代の経営に必要な人材は、「課題解決法を知っている」のではなく、「誰も気付いていない課題を発見できる」人材。それができる人材とは、過去の成功ノウハウの再現を繰り返していくのではなく、状況の変化にスピーディーに適応できるコンピテンシー(行動特性)やマインドセットを持つ人です。つまり、これからの時代は、「連続したキャリア」ではなく、「非連続のキャリア」を築いた人が価値を認められ、存在感を発揮していくといえるでしょう。

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