年金「大幅減」に潜む誤解 実質額、代替率ほど減らず老後のお金 財政検証(下)

2019/9/15

これがわかっていれば過度に不安にならず、将来の年金額が自分の生活に足りない分を自助努力で備えるという、適切な老後資金設計が可能になる。厚労省幹部は「我々の過去の説明が代替率に偏っていたのもよくなかった」と悔やむ。

これらはあくまで財政検証の結果を前提に、それを「どう読み解くのか」という話。経済や実質賃金のマイナス成長が数十年も続くなら、現在の物価に換算した年金額も大きく下がる。ただその場合は年金だけでなく日本経済全体が低迷する。「経済全体と実質賃金を上向かせる努力が先決」(SMBC日興証券の末沢豪謙氏)だ。

増やす工夫が大事

ただし、多くの人にとって年金の実質額も十分な水準ではない。大切なのは年金額を増やす工夫と年金制度の改革だ。

グラフCでは財政検証のケース5のデータを基に、マクロ経済スライドが終わる58年時点の年金額を簡易試算した。制度改革がなくても、65歳まで共働きしたり、年金額を増やせる繰り下げ受給をしたりすれば水準は大きく改善する。

今後の制度改正では65歳までの基礎年金の拠出期間延長や、短時間労働者の厚生年金加入の適用拡大などが検討課題になっている。財源問題など障壁があるが、実現すれば年金が老後を支える力は大きく変わることもグラフCでわかる。

(編集委員 田村正之)

[日本経済新聞朝刊2019年9月7日付]

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