年金「大幅減」に潜む誤解 実質額、代替率ほど減らず老後のお金 財政検証(下)

第二の誤解は「所得代替率の低下と同じように年金額が減ると思われていること」(老後資金に詳しい久留米大学の塚崎公義教授)。例えば今のモデル世帯の年金22万円が4割減ると、わずか13万円。老後生活は極端に厳しくなる。しかしケース5の実際の受給開始30年後の年金額は今の物価換算で19万円と、小幅な減少にとどまる。

財政検証で標準的な例として報道されることが多いケース3(実質経済成長率年0.4%)ではどうか(表Bの上段)。受給開始後30年で所得代替率は41%に低下するが、年金額は24万円と2万円増だ。現在の物価に換算した額なので、年金の購買力はむしろやや上昇する予測だ。

「説明に偏り」

所得代替率の大幅低下とあまり変わらない年金額。これらはともに正しく、本来は目的に応じて使い分けるべきだ。

現役世代と比べた受給世代の暮らし向きを知るには所得代替率が適する。「相対的な貧しさは拡大」が答えだ。一方、受給者の年金の購買力は金額の方をみるべきだ。「財政検証の結果、年金の購買力は代替率ほど大きく減らず、老後をある程度きちんと支え続けることを示す」(塚崎教授)

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