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本質思考を極める 実践トレーニング

やりっぱなしですべてがパー 問題解決策、実行のワナ (5)やりっぱなし

2019/9/10

経費を減らすことと、会社のルールを順守(この場合はタクシー代の規定)することのうち、後者を意識しすぎたため、前者に意識が回りきっていなかったケースです。この問題の論点は経費だと捉えていれば、施策後に経費のチェックをしたはずなのですが、このケースでは「タクシー代削減」と捉えてしまいました。これが失敗の原因です。そういう意味では、このケースはワナ1「思考のショートカット」やワナ3「浅い分析」にも陥ってしまっています。

このケースでは、深夜残業を減らすことを考えることが本質的な問題解決に繋がることは言うまでもありません。

残業を減らす施策を実施し、さらにタクシー代や宿泊費などのプロジェクト費用の削減につながる手を打ち、その結果、プロジェクト全体のコストが抑制されていることを確認する、というサイクルを回すことが必要になります。

解決策を実行した後、必ずそれが期待通りの効果があったかどうかを確認する。目の前の問題は解決できても、他の問題を引き起こす可能性もある。問題を一段階、抽象化し、そのレベルで問題解決できているかを確認することは有効。

■ワナ5「やりっぱなし」の脱出法

問題の本質を理解し、抜け漏れのない思考プロセスを経て、施策までは打てているにもかかわらず、その結果を確認しないまま放置しているケースです。

多くの場合は施策を打つことで、なんらかの効果がありますが、問題の完全解決につながるとは限りません。また、問題の一部が解決されたものの、新たな種類の問題に変質している場合もあります。

対処法はシンプルです。いますぐに現状を確認しましょう。

仮に確認が遅れていたとしても、確認しないよりはずっとマシです。

施策を打つなどのアクションをとってから時間が経ってしまっているのであれば、そのアクションをとった結果の確認というよりは、現状把握という意味合いになるかもしれませんが、いずれにせよ、現時点の問題が何かを再把握する必要があります。時間が経過したゆえに、問題自体も変容している可能性もあります。

現状を把握するということは、下に掲げた「プロジェクトマネジメントの基本的なサイクル」の図における「実績」の部分を把握することです。「計画」と「実績」が把握できるから、その予実差異も把握できるわけです。予実差異が生じた原因こそが、対策、施策を打つ対象となります。

また、対策、施策を打った後、それが期待通りの効果を上げたかどうかの確認を行い、効果が不十分だった場合は再度、計画と実績の予実差異を分析し、さらなる対策、施策を検討するわけです。このサイクルを回し続けることが、健全なプロジェクトマネジメントにつながります。

アクションをとった後は必ず、状況の確認を行う。
正確な現状把握なしに、的確な問題解決なし。
アクションをとったことによって、問題が変容している場合もあり、前の一手の継続がベストとは限らない。状況を確認して、次の一手を考える。

<<(1)思考のショートカット あなたが問題解決できない理由

米澤創一
慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別招聘教授。プロジェクトマネジメントコンサルタント、人材育成コンサルタント。京大卒。元アクセンチュア・マネージングディレクター。著書に「プロジェクトマネジメント的生活のススメ」など。

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本質思考トレーニング

著者 : 米澤 創一
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,620円 (税込み)

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