ヘビなのワニなの?それパンダ!生物の似せる生存戦略

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/9/15

ワニ頭の昆虫

ワニのような頭をもつユカタンビワハゴロモ。頭の構造物で捕食者をあざむき、爬虫類だと思い込ませる。コロンビアで撮影(PHOTOGRAPH BY THOMAS MARENT, MINDEN PICTURES/NAT GEO IMAGE COLLECTION)

ワニのような頭をもつ昆虫ユカタンビワハゴロモの英名はpeanut-head bug、「ピーナッツ頭の虫」という意味だ。中空の大きな頭は、たしかにピーナッツっぽくも、ワニの頭のようにも見える。鳥などの捕食者にとっては、この頭が爬虫類に見えて、食欲をそがれるのかもしれない。

ユカタンビワハゴロモには、この独特な頭のほかにも、羽を広げると目のような模様があり、より大きな動物に見せかけることもできる。さらに、これらすべての威嚇が失敗しても、スカンクのように悪臭を放ち、諦めの悪い捕食者を撃退する。

ヒョウ柄のカニ

ヒョウ柄模様をもつキャリコ・クラブ。斑紋が、海底に溶け込むのに役立つ。米フロリダ州ガルフ標本海洋研究所・水族館で撮影(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

キャリコ・クラブは、ヒョウ柄の模様をもつカニ。この模様のねらいはヒョウと同じで、周りから目立たないことだと、米カリフォルニア大学デービス校の海洋生態学者ジェイ・スタコビッチ氏は言う。

迷彩柄の服を着た人が動いていても目立たないのと同じ原理だと同氏は言う。さまざまな色が入り混じった背景に対して、単色無地のものが動くと目立つが、迷彩なら見つかりにくい。

キャリコ・クラブの場合、通常、体の一部を砂に埋めているので、無地のカニに比べ捕食者に見つかりにくい。

カニ爪をもつカブトムシ

カニ爪のような角をもつヘラクレスオオカブト。角は、メスを争うライバルとの戦いで役立つ(PHOTOGRAPH BY GERRY ELLIS, MINDEN PICTURES/NAT GEO IMAGE COLLECTION)

最大のカブトムシ、ヘラクレスオオカブトがカニ爪のような角を生やすのには、十分な理由がある。2014年に学術誌「PLOS ONE」に掲載された論文によると、「爪」は戦い方に合わせて進化してきたという。メスを巡って争う際、角を使ってライバルをはさみ、持ち上げるのだ。

毒ヘビそっくりの毒なしヘビ

写真は、毒を持つサンゴヘビ。米サウスカロライナ州リバーバンクス動物園で撮影。このヘビにそっくりな毒のないスカーレットキングヘビは、同様の体色で捕食者をだまして遠ざける(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

毒のないスカーレットキングヘビは、毒を持つサンゴヘビにそっくりで、その外見は捕食者を遠ざけるのに役立つ。

(文 LIZ LANGLEY、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2019年8月19日付記事を再構成]

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