ワニ頭の昆虫

ワニのような頭をもつ昆虫ユカタンビワハゴロモの英名はpeanut-head bug、「ピーナッツ頭の虫」という意味だ。中空の大きな頭は、たしかにピーナッツっぽくも、ワニの頭のようにも見える。鳥などの捕食者にとっては、この頭が爬虫類に見えて、食欲をそがれるのかもしれない。
ユカタンビワハゴロモには、この独特な頭のほかにも、羽を広げると目のような模様があり、より大きな動物に見せかけることもできる。さらに、これらすべての威嚇が失敗しても、スカンクのように悪臭を放ち、諦めの悪い捕食者を撃退する。
ヒョウ柄のカニ

キャリコ・クラブは、ヒョウ柄の模様をもつカニ。この模様のねらいはヒョウと同じで、周りから目立たないことだと、米カリフォルニア大学デービス校の海洋生態学者ジェイ・スタコビッチ氏は言う。
迷彩柄の服を着た人が動いていても目立たないのと同じ原理だと同氏は言う。さまざまな色が入り混じった背景に対して、単色無地のものが動くと目立つが、迷彩なら見つかりにくい。
キャリコ・クラブの場合、通常、体の一部を砂に埋めているので、無地のカニに比べ捕食者に見つかりにくい。
カニ爪をもつカブトムシ

最大のカブトムシ、ヘラクレスオオカブトがカニ爪のような角を生やすのには、十分な理由がある。2014年に学術誌「PLOS ONE」に掲載された論文によると、「爪」は戦い方に合わせて進化してきたという。メスを巡って争う際、角を使ってライバルをはさみ、持ち上げるのだ。
毒ヘビそっくりの毒なしヘビ

毒のないスカーレットキングヘビは、毒を持つサンゴヘビにそっくりで、その外見は捕食者を遠ざけるのに役立つ。
(文 LIZ LANGLEY、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック 2019年8月19日付記事を再構成]