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井上芳雄 エンタメ通信

プリンスを本当に楽しめるのは40代から(井上芳雄) 第51回

日経エンタテインメント!

2019/9/7

井上芳雄です。テレビのバラエティー番組に出ると「ミュージカル界のプリンス」と紹介されることが多いのですが、今年で40歳になって、まだプリンスといわれるとは思ってもいませんでした。でも逆に、40代だからこその醍醐味もあります。今回は、最近感じているプリンスへの思いについてです。

9月6日にNHK Eテレで放送された、4~6歳児を対象にした子ども番組『みいつけた!』にゲスト出演しました。番組の主な出演者はスイちゃんという女の子、コッシーというイスの男の子、サボ子さんという大人のサボテンなのですが、僕が出たのは「サボ子のおうち」というコーナー。サボテンの国からきたミュージカルプリンス「サボうえよしお」を演じました。「トゲぬきゆういちろう」こと大貫祐一郎さんのピアノ伴奏で、スイちゃんや仲間たちにミュージカルの楽しさを教える役回りです。気持ちが高まってきたときに自然と歌になるんだよ、というのを実際にやって見せたり、みんなにやってもらったりしました。

実は、これが今年初めてのプリンス役。衣装もフリフリで、まさに王子でした。昨年は、オーケストラの伴奏によるフィルム・コンサート「Disney on CLASSIC Premium『リトル・マーメイド』イン・コンサート」でエリック王子の役を演じました。そのときは、「最近、王子役もあまり来ないので、これが“ラストプリンス”かも!?」なんて言っていたのですが、今年もまたやれました(笑)。

2018年2月に開催された「Disney on CLASSIC Premium 『リトル・マーメイド』イン・コンサート」より

最近は、バラエティー番組に呼ばれるときも「プリンスの話を」というのが多いし、僕にとってプリンスは、ほとんどネタになっています。王子といえば10代、20代のイメージで、30代でも頑張れば若くなくもないみたいなところがあったと思いますが、40代になったらネタでしかないなと。フリフリの格好ができないわけでもないし、気分的にはむしろやりやすくなっています。

若いころは「プリンス推しはちょっと嫌ですね」なんて言っていた時期もあります。でも今は、ミュージカルを知らない人に興味を持ってもらうには、わかりやすい取っかかりが必要だと思うので、「じゃあ、それでお願いします」みたいな感じです。

振り返ると、舞台では王子役をそれほどやってないんです。デビュー作の『エリザベート』でのルドルフ役は皇太子だから、王子といえば王子。その後も何回か演じています。絵に描いたような王子役は、デビューの3年後にミュージカル『シンデレラストーリー』で演じた王子くらいでしょうか。役よりもむしろ、「ミュージカル界のプリンス」と呼ばれ出したり、劇場で出待ちをするファンの方の列が「プリンスロード」といわれたりした印象が強いのかなとも思います。二の線の男優は誰しもプリンスの時期を通ると思うのですが、僕の場合はまだそこから抜けきれてないようです。

『エリザベート』で2015年から黄泉の帝王トートを演じるようになったときも、最初のころは「王子っぽいね」とよく言われました。別に王子っぽくなんて思ってもいないのですが、自分の今までの感じでやると、自然とそうなるみたいでした。

でも今年のトート役くらいから、「帝王感が出てきた」と言われます。感情を表に出さないとか、威圧的だったりするということだと思うのですが、そっちの雰囲気を出せるようになったからこそ、テレビとか別のところでは王子をやれる自信が出てきたのかもしれません。「違うこともできるけど、王子だっていつでもできますよ」という心の余裕が生まれたように思います。

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