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時計文化伝える「ギャラリー」 三越本店が売り場改装

トピック

2.5倍に増床 時計の構造や歴史学べる場に

2019.9.8

日本橋三越本店(東京・中央)の時計売り場が2.5倍に売り場面積を増床し、8月21日に改装オープンした。時計売り場のリモデルは29年ぶり。コンセプトは「THE GALLERY」。時計づくりやブランドの背景を鑑賞するように商品を選ぶ趣向で、文字通りギャラリーのような空間展示だ。売り場のある6階では特選婦人服や美術・工芸品も扱っており、ファッションとアートとウオッチの融合フロアをめざしたという。内覧会で取材した時計各社の声を集めながら、売り場の特性を探った。




■柱周りに商品展示、欲しい商品選びやすく

売り場の床面には大理石をふんだんに使い、改装前に比べて一段と豪華な雰囲気を演出した。「近年まれにみるゴージャスさ」と贅(ぜい)を尽くしたしつらえに驚きの声が上がる。きらびやかで洗練された統一什器(じゅうき)も華やかなイメージの醸成に一役買っている。

時計各社の間で評価が高かったのは、柱周りに商品を展示するコーナーを数カ所設けるという、新たな試みだ。国内外の複数ブランドが、この柱周りの売り場を利用する。これら出店者からは、客の視点で買いやすさを指摘する声が聞かれた。

通路が広く、回遊性が高まったと各社から好評。柱のような陳列は見やすい一方、販売員がどこに立つか、悩むブランドも

「通路は広いし非常に回遊性が高い。従来のカウンター型の対面式コーナーが並んでいるだけではお客が回遊しにくいが、これだと欲しい商品を選びやすいはず」

「先に改装した新宿伊勢丹本店よりも見通しがいい。豪華であっても開放的で足を踏み入れやすいのではないか」

また、「柱周りの統一環境では各ブランドの色がそれほど出ていないため、うちのような知名度があまりない商品も見てもらえそうだ」という中堅ブランドならではの期待の声も耳にした。一方では「従来の対面式だと販売員の立ち位置が明確だが、こういう方式ではどこで接客するのが適切なのかよくわからない」という戸惑いの声もあがっていた。

三越本店は2020年の完成を目指して全館で改装をすすめている。リモデルの完成像は「おもてなしのスペシャリティーストア」。専門性を磨いて一人ひとりに寄り添う接客を心がけるという。その一方で大きな課題がある。顧客の若返りだ。