12人の現役バンカー通じ描く 次世代の銀行員のあり方紀伊国屋書店大手町ビル店

もう一つ、多くの支店長に語らせているのは、人材育成への取り組み方だ。一人一冊、部下別のノートをつくっているという支店長、部下に自分で設定した目標と達成予定時期を書かせた「約束手形」を発行する支店長……インタビューからこうしたエピソードを拾いながら、それぞれの指導ぶりを浮かび上がらせていく。デジタル化が恐ろしい勢いで進む中でも銀行員の仕事は生身の人間と向き合うビジネスだというのが、著者の伝えたいメッセージになっている。

「店頭に並んで10日ほどだが、毎日よく売れている。金融関係の方が多い街だけに関心が高いようだ」とビジネス書を担当する西山崇之さんは話す。ビジネスジャンルでは単行本の目立った新刊が少なく、この本以外にも入門書的な内容の本をはじめ、新書の売れ行きが目立っているという。

5Gの入門書、息長い売れ筋に

それでは、先週のベスト5を見ておこう。今回は取り上げた本に合わせて新書のランキングを紹介する。

(1)上級国民/下級国民橘玲著(小学館新書)
(2)独ソ戦大木毅著(岩波新書)
(3)ザ・ネクストバンカー浪川攻著(講談社現代新書)
(4)5Gビジネス亀井卓也著(日経文庫)
(5)夫婦幻想奥田祥子著(ちくま新書)

(紀伊国屋書店大手町ビル店、2019年8月26日~9月1日)

1位は『言ってはいけない』などベストセラーを連発する作家が、世界レベルで進行する格差の拡大と階層の分断について語った本。2位には、軍事史に詳しい著述家による、第2次世界大戦で起こったドイツとソ連の戦争の実像に迫った歴史書が入った。3位に今回紹介した銀行本。4位は次世代通信システム、5Gの特徴と、それに伴う社会やビジネスの変化をわかりやすく解説した一冊。6月の刊行で、息の長い売れ筋になってきた。5位には、ジャーナリストが長年の取材をもとに現在の夫婦のあり方を見つめ直した本が入った。

(水柿武志)

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