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新書のベストセラーを並べた特設の平台に展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

新書のベストセラーを並べた特設の平台に展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。訪れた日はいつもビジネス書が置かれている一画が間仕切りで覆われていた。10月初めに向け、改装工事が始まったのだという。これから1カ月ほどは工事と並行しての営業となる。そんな中、売り上げを伸ばしていたのは、経済ジャーナリストが12人の銀行支店長にインタビューしてこれからの銀行員のあり方を探った新書だった。

メガ・地銀・女性支店長にも取材

その本は浪川攻『ザ・ネクストバンカー』(講談社現代新書)。定型デザインのカバーの上に「THE NEXT BANKER」と大きくタイトルが配置された単行本風のカバーがかけられていて、店頭ではひときわ目をひく。著者の浪川氏は2018年に刊行した『銀行員はどう生きるか』(同)が話題になった金融ジャーナリスト。前著ではデジタル化の波に洗われる銀行のビジネスモデルの変化を追いかけたが、今回はその現場を指揮する支店長に目を向ける。

どんな考え方でどのように支店運営をしているか。部下の銀行員をどのように育成しているか。そこから副題にある「次世代の銀行員のかたち」を探ろうというのが本書だ。登場する12人は現役支店長か、支店長経験のある執行役員。メガバンク3行はもちろん伊予銀行、静岡銀行、みちのく銀行といった地銀の伝説の支店長にも取材、女性支店長も2人に話を聞いている。

計数からは付加価値は生まれない

多様な経験談が次々と展開されていくが、次世代の銀行員の形という意味では、目指すべき姿がおのずと浮かび上がってくる書きぶりだ。「法人営業のレジェンド支店長」と形容されるみずほ銀行の奥山誠一執行役員は「惑わずにお客様に尽くせ」とつねづね若手職員たちに言っていると話す。ノルマを撤廃した三井住友銀行の河原田岩夫専務執行役員は「計数中心の仕事からはお客様への付加価値が生まれない」と語る。こうした徹底した顧客志向が本書が示す次世代の銀行員のあり方のひとつだ。

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