検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

遠隔手術、外科学会が検討着手 地域格差の是正に期待

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

胃がんや大腸がんなどの手術を医師が離れた場所から行う「遠隔手術」の実現に向け、日本外科学会が指針作りに乗り出しました。国内でも導入が増えている手術支援ロボットを使い、都市と地方の医療機関を高速回線で結んで、遠隔地の患者がその場にいるような感覚で手術を進めます。指針がまとまり次第、九州大や北海道大など4大学は動物実験や臨床研究を始める予定です。

日本外科学会は国内に約300台導入されている手術支援ロボット「ダビンチ」を使うことを前提に準備を進めています。ダビンチによる手術は、患者の腹部や胸部に穴を開けて内視鏡や鉗子(かんし)などの手術器具を挿入。外科医は手術台から少し離れた場所で、患部を映すモニターを見ながらコントローラーで操作します。

遠隔手術では大学病院などと、患者がいる地方の医療機関にダビンチをそれぞれ設置し、遅延の少ない通信回線で結びます。手術は原則として患者のそばにいる現地の医師が担当しますが、操作を遠隔地の機械に切り替えることもできるので、遠隔地からベテラン医師が手術の難しい部分を分担するといった運用も可能です。

ダビンチでは現在、胃がんや大腸がん、前立腺がん、子宮がん、食道がんなど14種類の手術に公的保険が適用されています。日本外科学会の森正樹理事長(九州大学教授)は「すべての手術が遠隔でできるわけではないが、胃がんや大腸がんなどダビンチでできる手術は患者数が比較的多いので可能性は大きい」と期待しています。

同学会はこのほど遠隔手術の実施に向け、対象となる手術の種類や安全確保のための方策を盛り込んだ指針作りに乗り出しました。通信技術の関係者なども交えた検討委員会で来春までに指針をまとめる予定です。

指針がまとまれば、九州大、北海道大、弘前大、鹿児島大の4大学は連携して研究を始める計画です。北海道と九州を回線で結んで、まず動物を使った実験を行い安全性を確認。そのうえで実際の患者で遠隔手術を実施する考えです。

遠隔手術は世界でもまだほとんど実施例がありません。「中国でブタを使った実験が報告されているくらい」(森理事長)といいます。

日本で遠隔手術の機運が出てきた背景には、外科医のなり手に先細り傾向があるなかで、都市と地方の医療サービスの格差を是正する狙いがあります。遠隔手術ができれば、経験の浅い若手の外科医が地方にいてもベテラン医師の指導を受けながら手術の腕を磨くことができるというメリットもあります。

森正樹・日本外科学会理事長「年度内に指針、地域の外科医療守る」

日本外科学会は遠隔手術の実施体制を整えるため学会の指針(ガイドライン)作りに乗り出しました。なぜ遠隔手術が日本で必要なのか、実現に向けどのような課題があるのか、同学会の森正樹理事長(九州大学教授)に聞きました。

――なぜ遠隔手術を実施したいと考えているのですか。

「まず外科医の立場からいうと、今われわれが直面している課題として『診療科の偏在』と『医師の地域偏在』という2つの問題がある。診療科の偏在とは、医学部・研修医を終えた後に進む診療科として外科を選ぶ人が減っていることだ。医学部の総定員は増えているのに、外科医の希望者は頭打ちないし減る傾向にある。他の診療科と比べて仕事がきついとか、自由になる時間が少ないといった理由からだろうが、医学生や研修医から敬遠されている」

「医師の地域偏在の問題は、外科医に限らず大都市以外の病院に医師が集まりにくくなっていることだ。希望勤務先は環境の整った都会の大きな病院に集中しがちだ。一方で地方に住み続ける人は高齢化が進んで病気にかかりやすくなる。こうした患者さんが手術を受けようとしても、地元の病院では対応できなくなる時代が確実に近づいている」

「厚生労働省は医療の地域格差を解消するための施策の1つとしてオンライン診療を推進しており、その適切な実施のための指針を昨年3月にまとめた。この中に高度な技術を持つ医師による遠隔手術が盛り込まれた。日本外科学会は地域の外科医療を守るという観点から、オンライン診療の1つとして遠隔手術ができるよう働きかけていた。厚労省の指針を受けて日本外科学会に検討委員会を設けて、日本内視鏡外科学会、日本ロボット外科学会とともに遠隔手術の具体的な対象疾患や安全性確保について指針をまとめようと作業を始めたところだ。指針は今年度中をメドに作りたい」

――遠隔手術はどのように実施しますか。

「日本でも普及している手術支援ロボットのダビンチを使うことで、様々な手術が遠隔地からできるのではないかと考えている。ダビンチのシステムは実際に手術を行うロボット部分と、執刀医が操作をするコンソールというボックス型装置に分かれている。執刀医はコンソールでモニターを見ながら手元のコントローラーを操作して手術を行う」

「ダビンチを遠隔手術に使う場合、例えばこんなイメージだ。東京都内と患者がいる離島の病院にそれぞれダビンチを置いて通信回線で結ぶ。都内の病院に外科医を1人、離島の病院にも担当医師(執刀医)を1人それぞれ配置する。手術は原則として離島の医師がコンソールで行う。ダビンチは複数のコンソールの切り替えができるので、必要に応じて都内の医師も手術に参加する。原則として都内の医師は、離島の執刀医の指導および補助の役目を担うが、役割が逆になる場合も想定している。現在の外科手術では手術台に医師が3人程度つくが、遠隔手術の場合は現地の医師は2人もしくは1人で済む可能性がある」

「離れた場所にいる医師が同じ画面を見ながら手術に臨めるため、例えば、東京の医師が手術の難易度の高い部分を担当し、現地の若い医師に指示しながら手術を進めるといった運用も可能だ。こうすることで若い医師がベテラン医師の指導を受けながら手術を担当する。研修医が地方に行きたがらないのは、経験できる症例が少なく手術などの腕が磨けないと考えることも大きな要因だ。遠隔手術で経験が積めるようになれば、地方に行くのをためらう人も減るのではないか」

――どのような種類の手術が遠隔でできるのでしょうか。

「大腸がんや胃がん、前立腺がんといったダビンチで手術ができるものの多くは可能であると個人的には考えている。こうした手術は患者の数も多いので遠隔手術を活用する意味は大きいだろう。もちろんすべての手術が遠隔で可能ということはない。脳外科とか心臓、肝臓などの手術は手術自体の難しさに加え、術後管理が非常に重要なので、遠隔手術ではなくて体制の整った病院で手術・入院するのが望ましい。対象となる手術の種類は今後指針を作る中でコンセンサスを得ていく」

――遠隔手術の臨床研究はどのように進めますか。

「日本外科学会の検討委員会にも参加している九州大、北海道大、弘前大、鹿児島大の4大学が手始めとして協力して遠隔手術の実施が可能か、検証を始めることを目指している。これらの大学は診療地域が非常に広かったり離島を抱えていたりで、遠隔手術への関心が高い。学会の指針がまとまり次第、まず動物を使った遠隔手術を、たとえば北海道と九州を結んでやりたい。安全性の確認はもとより、通信手段の問題など課題は多いが、1つずつ解決しながら、患者を対象とした遠隔手術の臨床研究に進められれば良いと考えている」

(編集委員 吉川和輝)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_