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遠隔手術、外科学会が検討着手 地域格差の是正に期待

2019/9/10

遠隔手術は世界でもまだほとんど実施例がありません。「中国でブタを使った実験が報告されているくらい」(森理事長)といいます。

日本で遠隔手術の機運が出てきた背景には、外科医のなり手に先細り傾向があるなかで、都市と地方の医療サービスの格差を是正する狙いがあります。遠隔手術ができれば、経験の浅い若手の外科医が地方にいてもベテラン医師の指導を受けながら手術の腕を磨くことができるというメリットもあります。

■森正樹・日本外科学会理事長「年度内に指針、地域の外科医療守る」

日本外科学会は遠隔手術の実施体制を整えるため学会の指針(ガイドライン)作りに乗り出しました。なぜ遠隔手術が日本で必要なのか、実現に向けどのような課題があるのか、同学会の森正樹理事長(九州大学教授)に聞きました。

――なぜ遠隔手術を実施したいと考えているのですか。

森正樹・日本外科学会理事長

「まず外科医の立場からいうと、今われわれが直面している課題として『診療科の偏在』と『医師の地域偏在』という2つの問題がある。診療科の偏在とは、医学部・研修医を終えた後に進む診療科として外科を選ぶ人が減っていることだ。医学部の総定員は増えているのに、外科医の希望者は頭打ちないし減る傾向にある。他の診療科と比べて仕事がきついとか、自由になる時間が少ないといった理由からだろうが、医学生や研修医から敬遠されている」

「医師の地域偏在の問題は、外科医に限らず大都市以外の病院に医師が集まりにくくなっていることだ。希望勤務先は環境の整った都会の大きな病院に集中しがちだ。一方で地方に住み続ける人は高齢化が進んで病気にかかりやすくなる。こうした患者さんが手術を受けようとしても、地元の病院では対応できなくなる時代が確実に近づいている」

「厚生労働省は医療の地域格差を解消するための施策の1つとしてオンライン診療を推進しており、その適切な実施のための指針を昨年3月にまとめた。この中に高度な技術を持つ医師による遠隔手術が盛り込まれた。日本外科学会は地域の外科医療を守るという観点から、オンライン診療の1つとして遠隔手術ができるよう働きかけていた。厚労省の指針を受けて日本外科学会に検討委員会を設けて、日本内視鏡外科学会、日本ロボット外科学会とともに遠隔手術の具体的な対象疾患や安全性確保について指針をまとめようと作業を始めたところだ。指針は今年度中をメドに作りたい」

――遠隔手術はどのように実施しますか。

「日本でも普及している手術支援ロボットのダビンチを使うことで、様々な手術が遠隔地からできるのではないかと考えている。ダビンチのシステムは実際に手術を行うロボット部分と、執刀医が操作をするコンソールというボックス型装置に分かれている。執刀医はコンソールでモニターを見ながら手元のコントローラーを操作して手術を行う」

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