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ついに累計700万部超え 「おしりたんてい」の底力

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日経クロストレンド

2012年に刊行された絵本と児童書の『おしりたんてい』(ポプラ社)が、不況の出版業界において異例のヒットを飛ばしている。児童書を合わせた累計発行部数は700万部を突破、関連グッズも好調だ。18年にはNHKでアニメ化され、勢いは増すばかり。新たな国民的キャラクターへの期待が高まる。

読者の中には名前を聞いてもピンと来ない人もいるかもしれない。「おしりたんてい」シリーズ(作/トロル、ポプラ社)は、未就学児から小学校低学年の男女を対象とした本格謎解きミステリーとして登場した。顔がおしりの形に見える主人公「おしりたんてい」は腕の立つ名探偵で、助手のブラウンとともに難事件を解決していく。

身のこなしや話し方は上品でファッションも英国紳士風。インパクトのある見た目と紳士なふるまい、そして「しつれいこかせていただきます!」の決めゼリフとともに繰り出す「必殺技」で子どもたちに大人気。シリーズのキャッチフレーズは「どんなじけんもププッとかいけついたします」。

最新刊の初版発行部数は異例の50万部

15年に児童書の「読み物シリーズ」がスタートして急激に部数を伸ばした。それまで3冊出ていた絵本は3年で約7万部ほどで、人気はあるが抜きんでてはいなかった。だが、おしりたんていのコンテンツ力を高く評価していたポプラ社は、児童書第1作から初版1万5000部を発行するという積極策に出る。通常児童書では初版1万部なら「かなり良いほう」というから、ポプラ社の期待の高さがうかがえる。

同社の読みは当たり、15年度の発行部数は前年比748%という驚異的な数字をたたき出した。以降も同303%(16年度)、188%(17年度)、259%(18年度)と伸び続け、絵本と読み物シリーズを合わせた17作の累計発行部数は700万部を突破した。「ここまで短期間で、急激に部数が上がる例はこれまでなかった」と、ポプラ社児童書事業局副局長「おしりたんていプロジェクト室」室長・高林淳一氏はおしりたんてい人気の特異さに驚きを隠さない。19年8月に発売された読み物シリーズ10作目となる最新刊の初版発行部数は、50万部という異例の多さだ。

その人気ぶりに目を付けた東映アニメーションがアニメ化を打診、18年5月からNHKでの放映が決まった。それが話題になり、同年7月には7週連続で放送され、同年12月には早くもレギュラー放送が決定した。「全国同時に放送できたため、まんべんなく認知を広げることができた。書籍の売り上げも地域差がなかった」(高林氏)。

アニメ化されれば「その話はもう知っている」と書籍を買わなくなることが多いが、「おしりたんていはアニメで話を知り、さらに書籍でも読みたくなるというファンが多い」(高林氏)という。もともと何度読んでも面白いと定評があり、アニメと書籍が食い合うことなく相乗効果を生んだ。

「動画サイトに押されてDVD市場が縮小している中で、おしりたんていのDVDは累計出荷数3万枚を突破している。6巻まで出ているがいまだに1巻目のバックオーダーが継続しているのも強み」(ポプラ社)。おしりたんていはメディア業界の衰退を救う救世主と言える。

おしりたんていのビジネス効果は関連グッズにも表れている。18年からアニメ版権のみで発売しているグッズのアイテム数は18年が50だったのに対し、19年は一気に230まで増えた。特にグミやパンなど食品分野が人気というが、「バイヤーがおしりたんていを知らず入荷してもらえないこともある」と、ポプラ社コンテンツ事業部チーフの宮石尚典氏は、世代間の認知格差を指摘する。子育て世代には圧倒的な知名度を誇るが、それ以外の層に訴求できていないジレンマがあるという。

子供にこびない、大人の本気が受けた

なぜ、おしりたんていはこんなにも子供たちに受け入れられたのか。高林氏はその理由について、「子供にこびて作られていない。作者のトロルのお二人が大人の自分たちが本気で面白いと思うものを世に出している。子供の感覚はとても鋭い。おしりたんていは、クールに仕事として謎を解いていく。知的だが子供向けにありがちな道徳的な押しつけがましさもなく、あくまでプロフェッショナル。その姿と謎解きの面白さが子供の知的好奇心に訴える」と分析する。

作者のトロルは、田中陽子氏と深澤将秀氏のコンビ作家で、おしりたんていはもともとトロルが作成したアプリのキャラクター。アプリでも謎解きはするものの、頭より体を使って解決するという内容だった。そこにポプラ社が推理ミステリーの所作を手ほどきし、より頭脳戦に仕立て上げた。

同社はおしりたんていを一過性の流行で終わらせず、新しい国民的キャラクターに育てるため、緻密な戦略でその世界観を守ろうとしている。アニメ化に際しては、スポンサーがストーリーに介在するのを避けるためNHKを選び、番組の編集会議には毎回出席して書籍とのトーンを合わせる。また、書店限定の無料の謎解きイベントを年に数回実施して、アニメだけを見ているファンを書籍へ誘導する。

人気は海外にも広がり、19年8月現在、韓国、台湾、中国、ベトナム、フランス、スペイン、カタロニア、チェコ共和国、フィンランドの9言語に翻訳されている。アニメの初回放送(18年5月3日)の視聴率では、アンパンマンやポケモンを押さえたおしりたんてい(関東エリア、ビデオリサーチ調べ)。令和時代の国民的キャラクターに向け、着実に歩を進めているようだ。

(ライター 北川聖恵、画像提供 ポプラ社)

[日経クロストレンド 2019年8月30日の記事を再構成]

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