「学ぶ文化」なき会社に未来なし 松塾に込めた思いカルビー元会長 松本晃氏

参加は誰でもOKです。管理職でも派遣の人でも立場に関係なくウエルカムでした。仕事ではないので、交通費は出しましたが、日当はありません。それでも毎回、だいたい30人ぐらい集まりました。年齢はバラバラで、女性のほうが多いときも結構ありました。

討論のテーマ、実は何でもいい

松塾には、立場に関係なく誰でも参加できるようにした

松塾は、土曜日の朝10時から夜の7時半までです。まず僕が40~50分間、基調講演しました。しゃべるテーマは腐るほどあるので、その時々でいろいろ選んで話しました。肝心なのは、まず会場全体を見て、どんな人が参加しているかをつかむことです。そのレベルに合わせて話をするんです。

たとえば、100人いたら上から75番目、下から25番目あたりに合わせてしゃべる。そうすれば、僕の話を誰でも理解してくれます。そういう意味もあって、基本的に経営の話はしませんでした。聞く人が興味を持ってくれなければ、何を話しても意味ありませんから。それが僕の講演のいつものやり方です。

僕の話が終わると、今度は雅彦氏が40分ぐらい話します。雅彦氏も一生懸命やってくれました。その彼が2018年に亡くなってしまって……。とても残念で悲しいことです。

講演が終わったらお昼を食べて、午後は何人かずつに分かれて、グループディスカッションです。6チームぐらいつくって、リーダーや書記などの役職も決めます。与えられたテーマについてチームで議論してもらい、最後にみんなの前で発表する。最後に雅彦氏と私が締めの話をします。後は全員参加の懇親パーティーです。

議論のテーマは、たとえば「10年後のカルビーはどうあるべきか」。テーマはいろいろでしたが、実のところ何でもよかったんです。大事なのは、みんなが「今日から学ぶことを始める」かどうかです。塾は、そのきっかけを提供するのが目的なんです。

松塾は、09年から18年に僕がカルビーを辞める直前まで続けました。最後の回は、忘れもしない18年6月30日でした。僕のカルビーでの最終日です。そのときは150人ぐらい参加してくれ、僕は花束とかもらって……。「辞めないでくれ」とずいぶん言われ、泣いて別れを惜しんでくれた人もいました。