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パタゴニア発の香り「香水は精神に働きかける」 「フエギア1833」調香師ジュリアン・ベデル氏に聞く

2019/9/5

芸術一家に生まれたというジュリアン・ベデル氏。「香水は表現する上での僕の言語でもあります」

アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれの「フエギア1833」は今、世界で最も注目される香水ブランドの一つだ。2010年の立ち上げ後、ニューヨークや東京、ミラノなどファッションの中心地に相次ぎブティックを開設。日本の2号店も開設を検討する。魅力の源泉は調香師、ジュリアン・ベデル氏の独創的なものづくりの姿勢。ミラノに調香から包装までの一貫生産拠点を、ウルグアイには原料の植物を育てる農園を抱える。商品は自身が愛する詩やパタゴニアの自然をモチーフにし「文化的アイデンティティー」にこだわる。「あくなき探究心から生まれた複雑な香りは精神にも働きかける」と語るベデル氏に自身の哲学を聞いた。




■香水は言語、無数の原料を使って語りたいものを表現

――「フエギア1833」は天然原料のみで作られています。原料にこだわる理由は。

「代替原料を否定はしません。ただ私は単に、他の人にいいにおいだと気付いてもらうために香水を作るのではありません。香水は私自身の言語です。自分の感情を表現するもの、自分の知っている植物を表現するためのものとして香水があります」

100種を超す香りは文学、詩人リンネにささげるコレクションといった分野に分けられ、独創的な名前がつけられている。香りも個性的なものばかりだ

「男性は香水に精神的なものを求める傾向が強い。実際、東アジアや米国を例にしても、古来香りは神事や瞑想(めいそう)といった精神世界と強く結びついています。香水はマインドと密接な関係があるものです。インドや中国、中東といった各地で実践されている香りの効果効能を、本当にリアルな原材料で追究していく、というのが私のスタイルです」

――絵画や音楽などと違う、香水づくりの魅力とは何でしょうか。

「芸術一家に生まれ、子供の頃からクラフト活動に親しんでいました。これまで彫刻、絵画、音楽に取り組んできましたが、いずれも満足できる水準には達しませんでした。ところが香りに関しては、無数の原料を使って語りたいものが表現できました。人々の癒やしになり、日々の生活や人生に影響を与えたり変化をもたらしたりするのが香水なのかな、と思います。香水づくりはワークオブアート。ただ私の芸術作品というつもりはありませんが」

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