タレント・俳優の布川敏和さん 車と洋服好きは父譲り
著名人が両親から学んだことや思い出などを語る「それでも親子」。今回はタレント・俳優の布川敏和さんだ。
――車やファッションが好きなのは、お父さま譲りだそうですね。
「中古車販売業を営んでいたオヤジは、毎週のように車で家族をどこかに連れて行ってくれました。上野動物園や(遊園地の)横浜ドリームランドはよく行ったなあ。おしゃれも大好きで、家族で出掛けるのに、テーラーで仕立てたスーツを着てネクタイもきっちり締めてね。オヤジの影響は大きいです」
――ご両親の人柄は。
「僕は小さい頃やんちゃだったけれど、オヤジに怒られた記憶はないんです。勉強しろとも言われませんでした。母も優しく、自由にさせてくれました。僕が若い頃やっていたブランドショップを切り盛りしてくれたのは母です。思い出の写真を僕がブログにアップしたら、ファンの方から『当時、お母さんによくしてもらいました』とコメントが届きました」
――芸能界入りについて、ご両親の反応は。
「好きな道を進めばいいと応援してくれました。(所属していたアイドルグループの)シブがき隊がレコード大賞最優秀新人賞に選ばれたときも喜んでくれました。芸能界で頑張る姿を見せられたのは、親孝行になったのかな」
――ご両親はすでに他界されました。
「オヤジのときは本人から突然電話があり、病院に駆け付けたら、ガンで余命半年と医師に告げられました。それからはできるだけ見舞いに行きました。台本を持参し『ドラマでこういう役をやるんだ』と見せると、笑顔で『頑張れよ』と言ってくれました。意外に明るく、治るんじゃないかと思うほどでした。亡くなるまでの半年間、あんなにオヤジと話したのは、大人になって初めてでした」
「その後、母も亡くなりました。入退院を繰り返し、僕がドラマの撮影のため飛行機に乗る寸前、亡くなったと連絡がありました。親の死に目にあえない覚悟はしていましたが、本当に急でした」
「気を張っていましたが、ひと息ついたらガクッときました。10代の頃のインタビューで、『落ち込むときあるの?』と問われて、『全然ないよ。あるとしたら親が死んだときじゃないかな』と答えていたそうです。自覚している以上にショックを受けていたんだと今になって思います」
――ご自身の子育てでも、ご両親はお手本だとか。
「愛情を惜しみなく注いでくれたので……。子どもが5歳になる頃、自転車の補助輪を外して走る練習に付き合って、『ああ、これオヤジにやってもらったな』と記憶がよみがえりました。気付くと同じようなことを子どもにしているんです。幼なじみには『オヤジさんとそっくりになってきたな』と言われます。話し方や、すっとぼけた感じも。やはり親子なんですかね」
[日本経済新聞夕刊2019年9月10日付]
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