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車谷暢昭・東芝会長

車谷暢昭・東芝会長

東芝の経営を再建するため、2018年に会長兼最高経営責任者(CEO)に就いたのが、三井住友銀行元副頭取の車谷暢昭氏(61)だ。長い歴史を持つ東芝にあって、外部出身の経営トップが誕生するのは、「メザシの土光さん」で知られる土光敏夫氏以来、53年ぶり。大阪府立茨木高校の卒業生である車谷氏にとって、10代のころに養った自立心がどんな困難にも挑む原点になっている。

(下)答えなき課題にこそやりがい 車谷東芝会長の原点 >>

「東芝の会長を引き受けてほしい」。2018年1月、都内のホテルの一室で、東芝関係者らからの突然の要請を受けた。

予想さえしていなかった打診。正直驚きました。「少し考えさせてください」。即答は避け、持ち帰ることに。そんな時ふと、銀行員時代に秘書として仕えた小山五郎さん(三井銀行元社長)の言葉を思い出しました。「仕事というのは、自分が望むことをやるものではない。やってもらいたいと望まれてこそだよ」。かつて三井の重鎮だった小山さんが、天国から呼びかけている気がしました。これも天命と思い、引き受けることを決めました。

東芝に入ると、社員らには「ファーストペンギンになろう」と呼びかけました。ペンギンは群れをなして暮らします。その中の1匹が、天敵のアザラシがいるかもしれない海へ飛び込むことで、ほかのペンギンも続くのです。会社組織だって同じでしょう。最初に飛び込むペンギンのように、リスクをとって動く人がいないと組織は動きません。

東芝は、もとは偉大なベンチャー。教科書に書いてある内容を真似することを好まない私にとって、やりがいのある舞台だと感じています。

リチウムイオンバッテリーやセキュリティーをはじめ、東芝にしかない多くの技術を持っています。これらを生かして新しいビジネスラインを作っていきたいのです。苦境でも立ち向かおうとする私の考え方は、高校時代を中心とする10代の頃に身につけたものでした。

愛媛県新居浜市に生まれたが、10歳の頃、住友化学に勤める父の転勤に伴って大阪府茨木市に引っ越した。

新居浜は、瀬戸内の美しい街でしたね。野球や魚釣りに熱中し、勉強はそっちのけの幼少時代でした。ところが、大阪府郊外の茨木市の社宅暮らしは、それまでの新居浜とは環境が大きく異なりました。子供心にも「ここは外国か」と感じるほどでした。周囲の子供からは、ちょっとしたいたずらをされることもありました。

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