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転職先の「決め方」を決める 条件や給与では迷走も ミドル世代専門の転職コンサルタント 黒田真行

2019/9/6

転職先を選ぶ「ものさし」は、あくまでも自分らしく決めたい。写真はイメージ=PIXTA

「欲望(欲求)の二重の一致」という言葉をご存知でしょうか? これは経済学の用語で、しばしば物々交換の成立が困難であることを表現する際に用いられます。ミカンを持っていて、リンゴを欲しがっている人が「リンゴを持っていて、かつ、ミカンが欲しい人」に出会う可能性は極めて低いということです。この物々交換の壁を克服するために貨幣が誕生したといわれています。転職する際にも、これと同じ状況が生じがちです。求職者の希望と、採用する側の要望は簡単には一致しません。では、いざ転職を考えたときに、具体的にどう対応すればいいのでしょうか?

先日、転職相談で会ったAさん(37歳、男性)は、新卒で入社した中堅規模のシステム開発会社で15年もの間、法人営業として実績を残してきました。すでに5人の部下を抱え、自分の予算を持ちながら、若手人材を育成しています。周囲からの信頼も厚く、自信と安定感にあふれた印象でした。

2年前に勤務先の経営者が世代交代して、創業者の長男である現社長が陣頭指揮を執るようになったことをきっかけに、経営戦略や風土が一変したそうです。顧客離れが起こって業績が下降。社内の雰囲気もワンマン経営スタイルの社長の顔色をうかがうようになってしまったことで、ついに覚悟を決めて、転職を考え始めたとのことでした。

ただ、転職の経験がないので、当初は「何から手をつければいいのか」と、かなり戸惑ったそうですが、友人やいくつかの転職エージェントに相談しながら、少しずつ求職活動を始めた段階です。現在は、やはり法人向けの営業で、できれば管理職というポジションで転職をしようと、2、3社に応募している状況でした。

■Aさんの言葉にのぞいた「メーカー、中小」観

転職先に関する希望条件は、下記の3条件を挙げています。

・子供が小学生で、まだまだお金もかかるので、できるだけ年収は維持したい(最低でも現在の800万円程度)。

・経営者の考え方ひとつで、いかに働きがいが変わるかを痛感したから、共感できる理念やビジョンを持つ会社を選びたい。

・長く情報システム業界で働いてきた。できれば、その土地勘を生かすべく、IT(情報技術)関連業界を望む。

どれも妥当な条件設定です。まだまだ第一線で活躍していく意欲が強く、成長余地も大きいAさんであれば、急がずに活動すれば十分に選択肢はあるはずだと感じました。

「ただ、法人向け営業でやってきた経験はほかの業界でも生かせる可能性があるので、メーカーの営業職でもいいかなと考えています。欲を言えば、今後の安定性を考えると、前職よりも従業員数が多い企業であれば、自分的にはベターですね」

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