飲酒で高まる食道がんリスク 原因は「やけど」?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)ホント
(2)ウソ
正解は、(1)ホントです。
食道がんの最大の原因は「飲酒」だった!
アルコール度数の高いウイスキーやウオッカをストレートで飲むと、チリチリっと焼けるような刺激があります。その刺激が、食道に何か影響を及ぼすのではないか、と心配に思う人もいるでしょう。
消化器内視鏡診断・治療のプロフェッショナルで、食道がんに詳しい昭和大学江東豊洲病院消化器センター長・教授の井上晴洋さんは、「飲酒をする方の食道がんの罹患リスクは圧倒的に多いですね。日本人が食道がんになる最大の原因はアルコールです」と言います。
国立がん研究センターでは、日本人を対象とした、がんと生活習慣との関係を評価しており、その食道がんの項目を見ると、飲酒のリスクは喫煙と並んで「確実」で、熱い飲食物が「ほぼ確実」となっています。
「食道がんを誘引する原因は『粘膜のやけど』です。お酒の場合はエタノール(アルコール)によって、粘膜の炎症、つまり"化学的なやけど"が起こっているのです。ウイスキーやウオッカなど高濃度のアルコールをストレートで飲んだ際、喉がチリチリっと焼けるような感じがする。それこそが粘膜の炎症なのです」(井上さん)
アルコール度数の高いお酒をストレートで飲むと、粘膜がやけどしやすいので注意が必要です。
「ウイスキーやウオッカのように、アルコール度数が40度以上あるお酒を好んで飲む方は『頸部食道がん』といって、食道の入り口近くにがんができやすい傾向にあります」(井上さん)
さらに、食道がんのリスクを下げるためには、飲酒量を見直し、適量(純アルコール換算で20g=日本酒換算で1合)を守ることに加え、水分の摂取も重要なポイントだと井上さんは話す。「お酒を飲む際は必ず水を飲むよう心がけてください。水によって、アルコールによる食道への刺激を緩和し、カラダの中のアルコールを希釈することが大事です。また、アルコール摂取により脱水が進みますので、水分を補給する必要があります」(井上さん)
お酒が好きで、飲酒の機会が多いという人は、食道がんのリスクを考え、飲み方を工夫して、かしこくお酒と付き合いましょう。
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday2019年9月2日付記事を再構成]
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