キャッシュレス、実はシニアも抵抗なし 限定特典も経済コラムニスト 大江英樹

このご婦人に限らず、キャッシュレス決済を利用する高齢者は少しずつ増えているようです。19年1月29日付の日本経済新聞朝刊の記事には電子マネーが高齢者に広がっていると書かれていました。70代以上の利用額が直近5年間で9割近く増え、全世代の伸びを大きく上回っているそうです。記事では「高齢の両親に電子マネーを渡す人が増えている」とありましたが、私の50代の友人のなかでもそうした例を何人か知っています。

どうやらキャッシュレス決済に限らず、ITを使ったサービスは高齢者に不向きという発想自体がそもそもステレオタイプなのかもしれません。要は、シニアであっても自分に興味のあることであれば抵抗なく使えるということなのだと思います。実際に私が現役の頃、働いていた証券会社で株式のネット取引の年齢層をみると、最もよく利用しているのは60代というデータが出て驚いたこともありました。

高齢者限定サービスも

19年10月の消費税増税に伴ってキャッシュレス決済のポイント還元策も始まります。今後、高齢化がさらに進むことで一人暮らしのシニアも増加し、小売業にとってはシニア層が重点的なマーケットとなることでしょう。実際に大手小売業では、電子マネーで60歳以上の高齢者向けカードを発行しているところや様々な割引の特典を付けているところがあります。利用する側からみても、高齢になってくると勘定のたびに財布から紙幣や小銭を取り出すのが若いころより面倒に感じたり、現金を持ち歩くのが不用心だったりするという面もあります。

もちろん、今はまだ様々な種類のキャッシュレス決済が乱立しており、特にQRコード決済についてはまだ先行きが読めない状況ですから、あまり急いで利用する必要はないかもしれません。ただITサービスの本質が「世の中を便利にしていくこと」にあるのだとすれば、むしろこうしたサービスは年をとって活発に動きづらくなったシニアこそが積極的に利用していくべきなのではないかと思います。

「定年楽園への扉」は隔週木曜更新です。次回は9月19日付の予定です。
大江英樹
野村証券で確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。著書に「定年3.0 50代から考えたい『その後の50年』のスマートな生き方・稼ぎ方」(日経BP)、「定年男子 定年女子 45歳から始める『金持ち老後』入門!」(同、共著)など。http://www.officelibertas.co.jp/
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
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