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三菱エクリプス クロス 高い旋回性能、加減速にクセ

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webCG

クリーンディーゼルを搭載する、手ごろなサイズのSUV――。「三菱エクリプス クロス」のディーゼルモデルは、日本国内ではなかなかレアな存在だ。では、その乗り味はどうか?市街地から高速道路、ワインディングロードまで試乗して確かめた。

やり直しからの国内デビュー

エクリプス クロスのディーゼルモデルは、既存のガソリンモデルから約1年3カ月遅れでの国内発売ということになった。

エクリプス クロスそのものが世界初公開されたのは2017年3月のジュネーブモーターショーである。当時のニュースを振り返ると、この時点ですでに「新開発1.5リッター直噴ガソリンターボと2.2リッターディーゼル(正確には2267cc)の2種類がある」と明言されている。また、2017年秋の欧州を皮切りに豪州、北米、日本、ASEAN……と順次発売されることも同時に発表となったが、ガソリンとディーゼルの導入にタイムラグがある由はアナウンスされなかった。

実際、当時は自動車専門メディアの間でも最初からガソリンとディーゼルが用意されると認識されており、三菱側もそれを否定していなかった。その後「ディーゼルが遅れるかもしれない」という情報が漏れ伝わってきたのは、国内での予約受注が始まった2017年末ごろだったと記憶する。そして、翌2018年3月、エクリプス クロスはひとまずガソリンのみで国内正式発売となった。

こうしてエクリプス クロスのディーゼルが遅れた最大の理由は、排ガス対策を途中でやり直したからだ。2.2リッターディーゼル+8段ATのパワートレインは当初、従来どおりのNOx吸蔵還元触媒で開発がスタートしていた。しかし、その開発真っただ中にフォルクスワーゲンに端を発するディーゼル不正問題が発覚。ディーゼル排ガスを取り巻く環境が一気に厳しくなってしまった。

そこで三菱は、途中まで開発が進んでいた排ガス処理システムを"日本でも欧州でも懸念なく排ガスをクリアできるように"とより浄化性の高い尿素SCRに転換することを決断。これによって同パワートレインの開発スケジュールは大幅に狂って、結局エクリプス クロスではガソリンより1年以上遅れただけでなく、パワートレインそのものの国内導入でデリカD:5が先行することとなった。

パワートレインは見どころ豊富

エクリプス クロスに搭載されるディーゼルエンジンは4N14型という。欧州では「アウトランダー」、そして国内ではデリカD:5に以前から積まれていたものと、型式名や排気量は変わらない。だが、逆にいうと、変わっていないのは型式名にまつわる基本設計くらい。前記の排ガス浄化システムの刷新だけでなく、クランクシャフト、ピストン、コンロッド、インジェクターなどの主要な内部部品はほぼすべて新設計で、ブロック本体こそ従来改良型だが、そのシリンダーボアの加工には真円度を引き上げる"ダミーヘッドホーニング"という手法が新たに取り入れられている。

さらに、このデリカD:5/エクリプス クロスから、ATが従来の6段から8段に多段化されたが、そのサプライヤーがジヤトコからアイシン・エィ・ダブリュに変わったことも大きなニュースである。現在のジヤトコに三菱が(日産やスズキとともに)出資していることを考えると、アイシンへの載せ替えはそれなりの英断だったと察せられる。

そんなアイシンの8段ATは、三菱の担当技術者をして「最初の試作車から『もう、ほとんどやることない?』と思えたくらい」といわしめるほど優秀なんだとか。以前のデリカD:5ディーゼルに使われていた6段ATと比較すると、変速時にエンジン回転数を合わせる制御や、一定速からアクセルペダルを離してもギアを維持する制御なども新しい。

ただ、また別の関係者にいわせると「変速機そのものが優秀なのはもちろん、実際に搭載したときに起こりうる問題に対する知見が豊富、かつ具体的な対策がメニュー化されていて、こちらのニーズに即座に対応してくれる」のが、ATサプライヤーとしてのアイシン最大の魅力なのだそうだ。

惜しいところもなくはない

そんなアイシンの8段ATは各ギアのレシオこそデリカD:5のそれと共通だが、ファイナルはデリカD:5より大幅に軽い車重に合わせて、率にして約4%、各ギアの回転数にして50~100rpmほどハイギアード化されている。

ただ、エクリプス クロスの車重はD:5より300kgも軽いので、この程度のレシオを高めたところで、動力性能は当たり前だがD:5より圧倒的に活発だ。エクリプス クロス単独で乗っているかぎり、動力性能の不足はまるでないのだが、これとほぼ同排気量のディーゼルを積む「マツダCX-5」は、これよりエンジン単体性能で45PS/70N・m上回り、そのうえ車重は同等。エクリプス クロスとCX-5をディーゼルモデル同士で比較すると、マツダのほうが明確に力強くて速い。静粛性もエクリプス クロス単体では「かつてのデリカD:5を考えれば夢のごとし」ではありつつも、CX-5との直接比較では、やはりハッキリと騒々しい。

それでも、できるだけ静かにするためか、8段ATはD:5以上にポンポンと早期のシフトアップを好む変速プログラムになっており、しかも前記のように高いギアをキープする傾向が強い。そのためか、巡航状態からの再加速などでは意外に出足が鈍るケースもある。

かといって、そこでキックダウンを促進するべくアクセルペダルを踏み込むと、今度は、ちょっとくぐもるようなラグを経てからに急速かつ盛大にエンジントルクが立ち上がり、そこにシフトダウンも重なって、パワートレインに上を下へのドンチャン騒ぎ……を演じさせてしまうことが、まる2日間の試乗でそれなりの頻度であった。とくに今回のように、夏休み混雑で殺気立った幹線道路の流れを、メリハリをつけた加減速でリードしたいときなどに、そのクセが出やすいのが気になった。

こうした場面でのチューニングは本来なら軽量なエクリプス クロスのほうがやりやすいと思われるが、実際にはより重いデリカD:5のほうが、加速レスポンスやシフトプログラムの合わせ込みもうまくいっているようだ。現時点ではD:5のパワートレインのほうが明らかに扱いやすく、上品な運転がしやすい。

さすがと思える旋回性能

エクリプス クロスのディーゼルは、ガソリン比で前軸重量が100kg近く重い。さすがにこれだけの重量差があると、市街地でもステアリングの反応にガソリンとは明らかなちがいがある。カーブや交差点でのノーズの動き出しには、これをコンパクトSUVとして見ると類例のない"ドッコイショ感"がある。また、アクセルをオフにした際のレスポンスや減速トルクの出方が意外におっとり系なので、なおさらハンドリングのメリハリが利きにくいのが気になった。もっとも、この独特の味わいを"重厚"とか"落ち着き"と肯定的に受け取る向きもあるだろうが……。

ただ、お世辞ぬきに感心するのは、このまま山坂道に持ち込んでもアゴを出さない……というか、そういう場面でセミトルクベクタリング4WD機構の「S-AWC」を本格稼働させるほどに、喜々として走り、曲がるようになる基本フィジカル能力の高さだ。

S-AWCは電子制御カップリングによるスタンバイ式だが、オンロードでは「オート」にしておくだけで、休むことなく精密にトルク配分する。意図的にキッカケを与えても、ガソリンモデルほどテールを振り出すことはないものの、同時にいかに乱暴にアクセルペダルを扱っても、前輪だけがもがくような粗相を見せることもまったくない。

ターンインではノーズの重さに合わせたブレーキングだけに気をつけて、あとはタイミングよくアクセルオンするだけで、わずかにお尻を沈めたコントローラブルな姿勢でコーナーから脱出していく。この旋回姿勢こそ「この瞬間が三菱(の4WD)!」と、エクリプス クロスの開発陣がもっともタマシイを入れた部分だとか。そんな自慢の旋回姿勢は、このディーゼルでもきちんと受け継がれている。

ガソリンとどちらを選ぶべきか?

エクリプス クロスのディーゼルとガソリンを同等グレード同士で比較すると、ディーゼルが約30万円高い。その差額のモトが最終的に取れるかはともかく、荷物満載で休日ごとに遠出するようなSUVをSUVらしく使う向きは、ディーゼルを好ましく思うだろう。

しかも、日本ではディーゼルを選べる手ごろで快適な乗用SUVは数えるほどしかなく、"マツダ以外の国産車で"といった条件をつけると、必然的にこのクルマくらいしか選択肢はない。それだけでも、ディーゼルのエクリプス クロスの存在価値はある。

ただ、このデザインやパッケージに共感を抱いて、エクリプス クロスありきでガソリンとディーゼルのどちらか……と迷う三菱ファンには、ガソリンのほうが、より"らしい"と申し上げたい。

1.5リッター直噴ターボを積んだエクリプス クロスの動力性能は、瞬間的なパンチ力でこそディーゼルにゆずるが、どちらも同等スペックのライバルと比較すると"ほどほど"といった性能レベルにあることは変わりない。そのフットワークはもともと見た目からイメージするより柔らかな設定で、軽量なガソリンでも日常域の乗り心地は良好。また、ガソリンにのみ安価なFFも用意されるが、ディーゼルと同じ4WDを選んだ場合でも、積極的に回頭させようとするS-AWCの妙味をより明確に味わえるのも、ノーズが軽いガソリンだ。

そしてなにより、エクリプス クロスのガソリンは、ジヤトコ製CVTとのマッチングが素晴らしい。ディーゼル用ATではその座をアイシンに奪われてしまったが、さすがはCVTに社運をかける(?)ジヤトコの最新作らしく、エクリプス クロスのそれは出色のデキといっていい。微妙に流れる市街地や混雑した幹線道路でも、右足に吸い付く絶妙の加減速を見せてくれて、その一体感は明らかにディーゼルの上をいく。ただ、実際に使うとなると、実燃費ではガソリンより2割以上優秀な数値を示すこともあるディーゼルの経済性、そして遠出のときのアシの長さ(=航続距離)はSUVとしては大きな魅力ではあるけれども。

(ライター 佐野弘宗)

テスト車のデータ


ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4405×1805×1685mm
ホイールベース:2670mm
車重:1680kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.3リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:145PS(107kW)/3500rpm
最大トルク:380N・m(38.7kgf・m)/2000rpm
タイヤ:(前)225/55R18 98H/(後)225/55R18 98H(トーヨー・プロクセスR44)
燃費:14.2km/リッター(WLTCモード)/15.2km/リッター(JC08モード)
価格:342万4680円/テスト車=361万8127円
オプション装備:ボディーカラー<ホワイトパール>(7万5600円) ※以下、販売店オプション フロアマット<プレミアム>(3万0045円)/ETC車載器(2万9721円)/トノカバー(2万0152円)/ドライブレコーダー(3万7929円)

[webCG 2019年8月30日の記事を再構成]

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