
同社は19年8月に7号店目となる秋葉原店もオープンした。サブカルチャーの聖地として知られる東京・秋葉原を、世界に日本酒を発信するのに適した立地として選定したのだ。立ち飲みブースもあり、ビジネスパーソンや外国人観光客などのちょい飲み需要も取り込んでいく考えで、1杯500円(税込み)から販売する「杯売り」プランを用意する。
クリストファーさんはイギリスに住んでいた時には、日本酒のまがいものを熱かんで飲んだことしかなかったので「日本酒がまったく好きではなかった」という。しかし初めて日本の蔵元から直接そそいでもらった酒を飲んだ時、「こんなにうまい酒があるなんて!」と感動し、日本酒に開眼。自分と同じ経験をしている外国人に、「本当は日本酒はすごくおいしい、そして奥深いと伝えたい」と意気込む。
また、クリストファーさんは「日本酒は日本の文化にダイレクトに関係しているからこそ面白い」と指摘。各地のシングルオリジンや、サムライのラベルの酒などをきっかけにして日本酒を知るのが「外国人には近道かもしれない」と可能性を探っている。

大吟醸や吟醸、純米酒など、特定名称酒は細かすぎて、ややこしいと感じる外国人客が多い。特定名称酒だけがスポットを浴びるのでなく、様々な日本酒を世界に伝え、小さな蔵元にも関心が集まるようなビジネスを展開して行きたい、と辻本さんやクリストファーさんは考えている。
昨年から、輸出を本格的に開始。香港では世界最大級の酒の展示会に出展したほか、現地のディストリビューターと組んで酒の輸出を徐々に拡大させているところだ。
「日本酒をもっとカジュアルに楽しめることを世界中に発信したい。日本酒をもっと身近に感じて欲しい」(辻本さん)と、各種事業を通して日本酒の魅力を訴えていく。
(国際きき酒師&サケ・エキスパート 滝口智子)