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ビッグウェーブと裏路地… 太陽の国ポルトガルの魅力

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

サッカー日本代表のMF中島翔哉選手(FCポルト所属)の活躍でもおなじみのポルトガル。この国の魅力は、おいしいポートワインだけでない。ポルトガルに詳しい米ナショジオ、トラベラー誌のアン・ファラー氏が、この国の魅力を写真とともに語る。

◇  ◇  ◇

まばゆい午後の日差しに目を細めながら、私はリスボンから北へ向かって車を走らせていた。ハイウェイを降りてトンネルを抜けると、目的地が見えてきた。ポルトガル第二の都市、ポルトだ。歴史ある街並みに無数のタイル。青、黄、茶、緑が織りなす街のパノラマは、穏やかで目に優しく、ゆったりとした気分になる。時は10月、涼しい秋風が吹いていた。

車を降りて複雑に入り組んだ町の通りを歩いていると、風に乗って音楽が聞こえてきた。歩を進めると、通りの先で男が古いストリートオルガンを弾いていた。そばのテーブルで種をつつくニワトリは、まるで音楽に合わせて踊っているかのようだ。私は男のバスケットにユーロを投げ入れると、写真を撮ってその場を離れた。

だが、それほど歩かないうちに、目の前に広がる風景に見とれて、何度も足を止めなければならなかった。しっくいの壁に建物が濃い影を作り、赤色の屋根がきらめく。洗濯ひもにかけられたシーツは、太陽の光を受けてまぶしいほどの白さだ。ここ1~2年ほど、私の周囲ではポルトガルに行ったばかり、またはこれから行くという人が急に増えた気がする。リスボンにアレンテージョ、ポルト、どの町もそれぞれの個性を持っているという。なぜポルトガルなのかと問うと、とても言葉では表現できない、とでもいうように、みんな決まってこう答える。「自分で行って、見てごらん」

崖の上の灯台をめざして:ナザレ

行きの飛行機のなかで、隣に座った旅行客から、ナザレという町がポルトガル屈指のビーチタウンだと教えられた。ここの波は世界的に有名だそうだ。大波のシーズンは10月から5月まで。2017年11月には、ブラジル人サーファーのロドリゴ・コウシャがここで80フィート(約24メートル)の高波に乗り、世界記録を打ち立てた。

ポルトガル人と海の歴史は長い。15世紀初めから17世紀にかけて、ポルトガルの船乗りたちは波を制し、ヨーロッパの大航海時代を切り開いた。航海王子と呼ばれたポルトガルのエンリケ王子は、インドへの新しい航路を求めて航海者たちを海へ送り出し、後にアフリカからアラビア半島、南米、カリブ海にまで拡大した一大交易帝国の礎を築いた。船は星を頼りに航海し、灯台の明かりで岩を回避した。

古い要塞の上に建てられたナザレの灯台は、1903年から使用されている。ここからの眺めは最高だ。サーフィンの様子も最前列で楽しめる。岬の両側には、白い砂浜が広がる。私の横には、屈強な体つきのサーファーが数人、ビール片手に海を眺め、次の波乗りの計画を立てていた。涼しい秋風が吹いていたが、夏にはこの砂浜が人でいっぱいになるのだろう。

思いにふける町:リスボン

リスボンは、のりがパリッときいたワイシャツのような町だ。焼きたてのパンのにおいとすり減った石畳に誘われて町の通りを歩いてみた。エスプレッソに明るい挨拶、パステル・デ・ナタ(卵たっぷりのカスタード・タルト)で一日がスタートする。カフェのガラスカウンターにもたれかかる客に、柔らかい物腰のバリスタがたったひとり、慣れた様子で応対する。

さらに通りを行くと、巨人のようにそびえたつサン・ジョルジェ城が見えてきた。長い歴史を通じ、ケルト人やローマ人、ムーア人が、いずれも異なる時代にこの城を支配し、それぞれの痕跡を残してきた。特に印象に残ったのが、この町の持つ生命力だ。古く、色あせたなかにも活気がある。その大きさにとらわれて、細かいものをいくつも見逃した。過去と現在を行き来し、思いにふけっていると、美しい教会、噴水に飛び込んではしゃぐ大学生たち、ベレン宮殿の衛兵交代を目にして、ふと我に返る。現実に引き戻された私は、今度はどんなものが見られるだろうかと期待しながら、次に曲がる角を探した。

地平線を照らす稲光:アレンテージョ

五感にやさしいアレンテージョ地方のなだらかな丘陵地帯を、車で走り抜けた。木々の間をぬって、太陽の光が差し込む。野原には、まるで亡霊のように眠る1頭の白い牛、そしてドングリを探すブタたちの姿があった。ドングリ(ベジョータ)を食べたイベリコ豚のハムには、ナッツのような独特の味わいがある。丘に点在する城や教会は過去の遺物だが、今なお強い存在感を放っている。旅行シーズンのピークを過ぎたばかりで、町の通りに人の姿はほとんど見られない。ただ、パブからの帰りなのだろうか、がっしりとした体つきの男ふたりが歩いているだけだった。

モンサラーシュ郊外にある農場「サン・ロウレンソ・ドゥ・バーホカル」の私道には、両脇にオリーブの木が立ち並んでいる。オーナーによると、なかには樹齢1000年を超すものもあるという。節くれだっているが今も実を落とす1本の木のそばに、5000年前の新石器時代の巨石が立っていた。この古木と巨石は、何世紀もの間、互いにどんな会話を交わしてきたのだろうか。やがて雨雲が現れると、ラベンダー色に染まった空を背にしたモンサラーシュの町が、まるで幽霊のように丘の上に座っているのが見えた。稲妻が光り、一日の終りの光が不吉な積乱雲の間をぬって地上に到達しようともがいている。

世界の果てで迎えるたそがれ:サグレス

疲れていたが、ホテルのコンシェルジュに勧められて、出かけることにした。彼は地図にX印を書き入れて私の手に握らせ、絶対に後悔しないから、と告げた。急いで車を走らせ、サグレスの町中を抜けて環状交差点を3時の方向へ曲がった。間もなく風景は平たんになり、道端に停車した車を何台も通り過ぎた。そのまま運転し続け、ちょうどよく空いている場所を見つけて駐車した。人々は髪を風になびかせ、歩きながら笑ったりおしゃべりしたりしていた。辺りには、これから起きようとしている素晴らしいことへの期待感が満ちていた。

道路の行き止まりまでやってくると、そこはポルトガル西南端の地だった。大西洋の波がサグレスの崖に打ち付け、カモメは上昇気流に乗って空高く舞い上がる。私は、その場にいた100人ほどと一緒に座り込み、雲間にオレンジ色の光が現れるのを眺めた。世界の果てで迎える一日の終わりに、人々は静まり返る。ふと、誰かがワイングラスを掲げて乾杯した。空はオレンジ色から紫色へ、さらにパステルピンクとパステルブルーへと変わる。夜の闇が最後の光を飲み込む頃、人々はゆっくりと車へ戻って行った。

次ページでも、魅力的な太陽の国、ポルトガルを写真でご紹介しよう。

(文 Anne Farrar、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2019年8月13日付記事を再構成]

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