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食の達人コラム

ワインを甘くおいしく 酸化防止剤なしで醸す日本の技 エンジョイ・ワイン(16)

2019/9/6

メルシャンの「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」

どの国でも、政府やワイン業界は亜硫酸塩は適正に使えば問題ない、という立場だ。しかし、少量でも体への影響があると主張する生産者や専門家は少なくない。世界的な権威「マスター・オブ・ワイン」の資格を持つフランス人のイザベル・レジュロンは、著書「自然派ワイン入門」(清水玲奈訳)で英国の研究論文を引きながら、亜硫酸塩にはアルコールが体内で分解され無毒化するのを妨げる効果があると指摘し、使用に否定的だ。亜硫酸塩の添加量を減らすのは世界的な流れでもある。

安全性の議論はさて置き、ワインの製造に必要とされる亜硫酸塩を一切添加せずに、どうやって品質のよいワインを造れるのだろうか。

栃木県足利市にあるCfaバックヤードワイナリーの経営者で醸造コンサルタントの増子敬公さんは、「酸化防止剤無添加ワインの製造にとって重要な技術は窒素ガスの利用、加熱処理、精密濾(ろ)過の3つ」と指摘。そして「この3つのいくつか、あるいはすべてをうまく組み合わせることが、上質の酸化防止剤無添加ワインを造るカギ」と話す。

窒素ガスは様々な工程で使う。主には、原料果汁をタンクで発酵させる際にタンク内に注入する。それによってタンク内の酸素を追い出し、亜硫酸塩を添加しなくてもワインを酸化から守ることができる。瓶詰時に窒素ガスを添加する場合もある。窒素ガスの利用は一般のワイン製造でも導入が進んでいる。

ワインにとって酸化がよくないのは、酸化すると、フレッシュな果実の香りや味わいが失われるからだ。白ワインの場合は外観が褐色になる「褐変」も起きる。特に1本1000円未満で売られているようなデイリーワインはフレッシュさが身上のため、製造過程でいかに酸化を防ぐかが非常に重要になる。

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