厳しかった8月 低評価に潜む「錯覚」(苦瓜達郎)三井住友DSアセットマネジメントシニア・ファンドマネージャー

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8月は大変厳しい月でした。トランプ米大統領の対中関税引き上げ発言に始まり中国の報復関税発動に至るまで、国際情勢の混乱が株式市場の重荷となりました。特に日本株に関しては投資家の買い意欲が弱まり、売買代金も大きく減少しました。

効かなかったPER戦略

私は、株価が1株利益の何倍かを表す「PER(株価収益率)」を重視した投資戦略を採っていますが、こういった状況になると収益面から見た割安さも株価の支えにはなりません。割安株には製造業関連の企業が多いため、米中摩擦の影響を強く受け市場全体よりもさらに厳しい結果となりました。

PERの水準どころか、好業績にさえ反応しない株も散見されました。企業業績が全般にさえない中、私にとっては「ポジティブ・サプライズ」と感じられた四半期決算を発表したにもかかわらず、翌日の株価が下落し、株価水準を切り下げた投資先が少なからず存在しました。それらの企業は、もともと低PERでしたが、業績好調と株価下落が相まって、さらにPERの水準が切り下がり4~5倍にまで低下しました。

PER4~5倍の意味

確かにそれらの企業の大半は何らかの特需の恩恵を受けているケースが多く、今期業績がピークとなる公算が大きいのは事実です。だからこそ、増益のうちに売り逃げようという投資家行動を誘発しているのでしょう。しかし、PER4~5倍まで売り込むという行為は正当なものでしょうか。

PER4~5倍ということは、仮に利益が3分の1に減少したとしても、その時点の利益に対するPERは10倍台前半です。中期的に再成長の絵が描けるのであれば、来期減益のリスクを考慮しても、投資魅力があるといえるでしょう。

また、今期利益を自社株買いに用いるとすれば、その効果は極めて大きなものとなります。あくまでも単純計算ですが、PER4倍の企業が利益全額を現在の株価で自社株買いに投じた場合、翌期以降の1株当たり利益に対して30%以上の切り上げ効果が生じます。

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