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年金、もらっている人も減っていく 重み増す自助努力 老後のお金 財政検証(上)

2019/9/8

財政検証では制度を見直すことによって、将来の年金水準が回復する場合があることも示した。65歳を過ぎてから年金を受け取れば、遅らせるほど額が増えていく。今は最大70歳までしか遅らせることができないが、政府は75歳まで延長することを検討中だ。

このほか、年金保険料の納付期間を長くすることなども検討課題になっている。これらを踏まえて75歳で受け取り始めれば、将来でも現役の平均賃金と同じ程度の年金額が確保できる場合があるという。75歳まで年金を受け取らずに済む人は限られるだろうが、できるだけ長く働いたり、企業年金などで生活したりするなど工夫の余地はある。

パート労働者の厚生年金加入を進めることも、支給水準引き上げにつながることが明らかになった。加入すれば保険料負担が発生して目先の手取りは減るが、将来の年金も考えて冷静に判断したいところだ。

「老後2000万円」が物議を醸したように、長い老後のお金に対する不安は大きい。しかし先発投手は働いて賃金を得る「勤労」、中継ぎは貯蓄や私的年金などの「金融資産」、抑えは「公的年金」と考え、先発と中継ぎでできる限り粘って抑えの登場を遅らせれば遅らせるほど、最期までの安心感は増すはずだ。

みずほ信託銀行の小野正昭・主席年金研究員は「個人は金融資産の形成に努め、国はそれを助ける環境を整備すべきだ」と語る。

未来を嘆いていても始まらない。よりよくなる方向へ国も個人も動き出したい。

(編集委員 山口聡)

[日本経済新聞朝刊2019年8月31日付]

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