年金、もらっている人も減っていく 重み増す自助努力老後のお金 財政検証(上)

現時点でモデル世帯が65歳で受け取り始める年金額は月22万円。これは現役男性の平均手取り月収の61.7%に相当する。この比率を所得代替率といい、公的年金の支給水準を示す。

働き手の確保を

長期的に年0.9%の実質経済成長があるとした、最も成長するケース(図Aケース(1))では、この所得代替率が約30年後に受け取り始める世帯で51.9%に下がる。約16%の低下だ。ただ同じ割合で年金額が減っていくわけではなく、あくまで約30年後の現役の収入に対する比率が低下するということ。現役は賃金がある程度増えるが、高齢者の年金額はそう増えない未来を想像すればよい。

経済が最も低迷するケース(図Aケース(3))は長期的に年0.5%のマイナス成長が続くと仮定する。このシナリオでは、途中で国民年金の積立金がなくなり、所得代替率は30年以上先に受け取り始める世帯で最終的に36~38%になる。今よりも40%も低くなる。現役の賃金はほとんど増えず、年金額は明確に減るという暗い未来だ。

政府は所得代替率について、将来世代が受け取り始めるときでも常に50%以上を維持することを目標に掲げている。日本総研の山田久理事は「そのためにはシニアの就労促進などで働き手を確保することや、企業の利益がしっかり賃金に回る環境整備が必要」と指摘する。

子供を産み育てやすい社会をつくって、少子化を抑えることなども明るい未来につながる。数十年後の社会がどうなっているかなどだれにもわからない。財政検証の6ケースの真ん中に必ず落ち着くというものでもない。よりよい未来に向けた取り組み次第だ。

シニア世代にも影響

「若い人は大変だなあ」。すでに年金を受け取っている人や定年間近の人で、こんなふうに思う人がいれば認識を改めるべきだ。人ごとではないからだ。

少子高齢化を乗り切るために、いったん受け取り始めた年金についても金額を抑える仕組みなどが適用される。61.7%という現時点のモデル世帯の所得代替率がずっと維持できるわけではなく、もっとも経済が成長するケースでも25年後の90歳時点では41.9%まで下がる。シニア世代はこういう点も頭に入れておきたい。

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