払い戻し少ない保険 料金割安も途中解約で元本割れ低解約返戻金型、終身や学資など

写真はイメージ=PIXTA
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終身保険に加入しようと考えています。最近は「低解約返戻金型」という商品が主流だそうですが、メリットや注意点を教えてください。

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解約返戻金とは、保険を途中で解約した際に契約者に戻ってくるお金のことです。生命保険会社は将来の保険金の支払いに備え、契約者が払い込んだ保険料を積み立てて運用しています。中途解約すると、それまで保険会社が負担した費用などを積立金から差し引いて契約者に返します。

低解約返戻金型の終身保険は保険料の払込期間中、通常の終身保険より解約返戻金が少ない商品です。1990年代から販売が始まり、学資保険などでもこのタイプの商品が販売されています。

返戻率、通常型の7割に抑える

低解約返戻金型と通常タイプとの終身保険の解約返戻金のおおよその水準をイメージ図でみてみましょう。30歳の男性が終身保険に死亡保険金額を1000万円、保険料払込期間を30年として加入した想定です。

左の図の低解約返戻金型の場合、払込保険料の総額に対する解約返戻金の比率「返戻率」の水準は、経過年数5年で約61%、10年で約65%、20年で約68%、払込終了直前でも約70%です。3~4割の元本割れとなります。31年目以降から、解約返戻金が払込保険料の総額を上回る場合が多くなります。右の図の通常の終身保険の返戻率に対し、ほとんどの期間で7割の水準に抑えられています。

返戻率が低いのに終身保険で主流の商品になっているのは、通常の終身保険に比べて保険料を割安に設定でき、顧客に加入を促しやすいからです。男性が加入した商品の払込保険料は低解約返戻金型では30年で総額約850万円ですが、通常の終身保険では同じく約980万円と約15%多く払わなければなりません。

保険会社の持ち出し少なく

保険料を割安に設定できる仕組みは次の通りです。

終身保険は貯蓄性があり、貯蓄目的に契約する人が少なくありません。このため金利が上昇傾向になるなど、より有利な金融商品が登場してくれば、解約してほかの金融商品に乗りかえる人が一定数いると保険会社はみています。

低解約返戻金型は通常の終身保険に比べて返戻率が低いので、その分、保険会社の持ち出しは少なくなります。それを見込んで割安な保険料を設定しているのです。そして払込期間が終わると、少なく抑えていた持ち出し分を解約返戻金に積み増します。払込期間が終わった後に低解約返戻金型の解約返戻金が一気に増えるのはこのためです。

低解約返戻金型の終身保険の場合、払込期間が終わるまで払い込めれば、保険料が割安というメリットを享受できますが、割安感だけにとらわれず、商品の内容をよく理解して加入すべきでしょう。

[日本経済新聞朝刊2019年8月31日付]

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