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星野源の『引っ越し大名!』 引きこもり侍を自然体で

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NIKKEI STYLE

星野源が6年ぶりの主演映画に選んだ『引っ越し大名!』。『超高速!参勤交代』のヒット以降、トレンド化している「ユニーク時代劇」の流れをくむ娯楽活劇は、どのようにして生み出されたのか。原作者や監督、プロデューサーに聞いた。

江戸時代、書庫にこもって本ばかり読んでいた"引きこもり侍"の春之介が、「引っ越し奉行」に就任。移動距離600km、総勢1万人の「藩まるごと引っ越しプロジェクト」を超・低予算で実現するべく悪戦苦闘する……。

弱小藩が知恵と工夫で参勤交代を乗り切る姿を描いた『超高速!参勤交代』(2014年/興行収入15.5億円)や、貧乏町人が藩を相手に金を貸して利息を巻き上げる『殿、利息でござる!』(16年/興収13.7億円)など、松竹が企画・配給するユニークな時代劇(以下、ユニーク時代劇)が好調だ。その流れをくむ作品として期待を集めているのが、『引っ越し大名!』。原作・脚本は、『超高速!参勤交代』の原作者で脚本も手掛けた、作家・脚本家の土橋章宏氏だ。

「『超高速!参勤交代』の後に『次、何を書こう』とウィキペディアをさまよっていた時、目に飛び込んできたのが『引っ越し大名』という言葉でした。見ると、幕府に7回も国替え(引っ越し)をさせられた松平直矩のことで、7回は大変だっただろうなと(笑)。転勤の多いサラリーマンのように現代に通じる要素もあるので、面白い小説にできそうだと感じました」(土橋氏)

主人公は、かねてより興味を持っていた「引きこもり侍」に設定。「侍の家に生まれても、長男じゃない人は、くすぶって引きこもったりしていたらしい。そういう人が頑張って実力を発揮したら面白いんじゃないかと」(土橋氏)

こうして執筆した小説『引っ越し大名三千里』を、『超高速!参勤交代』で組んだ松竹の矢島孝プロデューサーに送ると、「タイトルが良く、藩ごと引っ越しするという発想も面白い」(矢島氏)と映画化が決定。監督は、『ジョゼと虎と魚たち』(03年)などで注目され、12年に野村萬斎主演の時代劇『のぼうの城』をヒットさせた犬童一心監督に。

「いつかご一緒したい監督の1人でした。ユニーク時代劇の流れの中に、新しい面を掘り起こしてもらえるんじゃないかという期待がありました」(矢島氏)

犬童監督は「また時代劇を撮ってみたかった」とこの依頼を快諾。3人で脚本の打ち合わせに入った。

2時間以内の「映画版」に

犬童監督がまずこだわったのは、尺を2時間以内にすることだ。

「原作にはコメディタッチの部分があるので、尺は長くないほうが適切だろうと思いました。そこで意識したのは、キャラクターの成長の幅を2時間の中で大きく描くこと。例えば春之介が好きになる於蘭は、原作では一歩下がって言うことを聞いてくれるような控えめな女性です。でもそれよりは、子持ちの大人の女性を恋愛対象に選ぶほうが、春之介の"大人になった感"が強くなる」(犬童監督)

こうして土橋に設定変更を提案。於蘭が馬に乗って春之介を助けに行くシーンや、武芸の達人・鷹村源右衛門の豪快な殺陣シーンも、犬童監督によるアイデアだ。

「於蘭の芯の強さやたくましさを、エピソードを作って説明すると何十分もかかる。でも馬に乗って駆けつければ、30秒の映像で表現できる(笑)。それに、そんなふうに画として記憶に残る場面がないと、映画はダメだと思ってるんです。鷹村の殺陣のシーンは、武芸の達人なのに実力を発揮できる場面がないと、演じる人がやる気が出ないまま現場に来るだろうなと思って(笑)」(犬童監督)

脚本の執筆と並行して、キャスティングを進めた。春之介役に星野源を提案したのは矢島氏だ。

「最初は日の当たらない書庫の中、でも最後は外に出て自分の生き方を貫く。そういう"引きこもり侍"の姿が、星野源さんでパッと浮かんだんです」(矢島氏)

この案に犬童監督も賛成した。

「僕は嵐主演の『黄色い涙』(06年)の音楽をSAKEROCKにやってもらったので、いつも楽しそうに笑っている普段の星野さんを知っている。『箱入り息子の恋』(13年)で見せたシリアスな演技も良かったです。その2つの星野さんが自分の中で自然にミックスされて、春之介にすごく合ってるなと思いました」(犬童監督)

星野のキャスティングが決まり、鷹村に高橋一生、於蘭に高畑充希という映画初の組み合わせも実現。京都・太秦の松竹撮影所や姫路城などでロケを敢行して、映画『引っ越し大名!』は完成した。

中学生も味わえる時代劇に

犬童監督は「映画全体のトーンを、子どもの頃に見ていた時代劇のようにしたかった」と話す。

「『眠狂四郎』や『大菩薩峠』のような正統派の暗い時代劇も見ていたけど、それとは別に、沢島忠監督の『一心太助』シリーズやマキノ雅弘監督の『次郎長三国志』なども見ていて。特に沢島さんの時代劇は、突然、平気で歌ったり踊ったりするんですよ。ミュージカルを昇華していて。僕はそういう時代劇に憧れがあったし、後半の引っ越しシーンを普通につなぐだけじゃ面白くないと思ったので、歌に乗せて時間経過を示していこうと考えたんです」(犬童監督)

そうして作った『引っ越し唄』を全員で歌いながら行脚するユニークなシーンを追加。振り付けを野村萬斎に託し、ミュージカルテイストもある時代劇に仕上がった。犬童監督は本作で、時代劇のファン層拡大も意識したという。

「目指したのは、シネコンを出た中学生たちが、ハンバーガーを食べながら話題にするような映画。深刻な顔で斬り合うような時代劇は、放っておいても上の世代が作ってくれる。次世代が時代劇を作りやすくするためにも、客層を下に広げることが自分の一番の役割だと考えていました」(犬童監督)

11月には堤真一と岡村隆史が主演の『決算!忠臣蔵』(松竹)も控える。時代劇の新たな潮流を生んだ土橋氏は「『翔んで埼玉』や『カメラを止めるな!』のように新鮮な面白さを生み出して、若い人に見てもらえる時代劇をどんどん作っていきたい」と語る。今後も様々なタイプのユニーク時代劇が誕生しそうだ。

『引っ越し大名!』

 江戸時代、姫路藩主の松平直矩は、幕府から突然の「国替え」を命じられる。それは姫路(兵庫)から日田(大分)へ、1万人の藩士とその家族全員を600kmも移動させるという「藩まるごとの引っ越し」だった。とはいえ藩の財政は厳しく、費用はほぼゼロの状態。そこで白羽の矢を立てられたのが、本の虫で人と話すことが苦手な書庫番の片桐春之介。「本ばかり読んでいるのだから、知識が豊富だろう」と「引っ越し奉行」に任命されてしまった春之介は、前任の引っ越し奉行の娘・於蘭に教えを請い、幼なじみの武芸の達人・鷹村源右衛門の力を借りて、悪戦苦闘しながら費用や人員の削減を推し進める。移動距離600km、カネなし、人なし、経験なしの引っ越しプロジェクトの行く末は……?(公開中/配給・松竹)

(ライター 泊貴洋)

[日経エンタテインメント! 2019年9月号の記事を再構成]

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