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昔はまずかった? トマト、フルーツ感覚で高まる人気

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さまざまなメディアで連日のように取り上げられるトマト。「美肌」「ダイエット」「アンチエイジング」といった効果が紹介されていることもあり、青果売り場での存在感は大きくなる一方だ。野菜消費量が全体的に伸び悩む中で、総務省の家計調査でもトマトの消費支出は年々増加傾向が続いている。その背景には、トマトの「おいしさ」が変化してきたことがあるようだ。

トマトについて、種苗会社のタキイ種苗が今年7月に行った調査によると、一番好きな野菜としてトマトを選んだ人は大人、子供ともに第1位で、名実ともにトップの座に君臨している。もちろん、世の中には一定数のアンチ(トマト嫌い)もいるのだが、その割合が特に小さいというのが人気の源泉だと言えるだろう。

さて、トマトの人気は昔から根強かった印象がある。暑い夏の日、「冷やしたトマトに塩を振りかけて食べた」「畑の木からもぎ取って、そのままかじった……」といった思い出を持つ、中高年の人は多いはず。トマトは当時から、夏野菜の代表格として人気の食材だった。ただ、中高年層に当時の思い出を話してもらうと、「昔のトマトはまずかった」という声がよく聞かれる。青臭い、硬い、酸っぱいなど表現はさまざまだが、少なくとも現在売られているトマトとは「別物」だと感じられているようだ。

結論から言うと、昔のトマトと今のトマトはほぼ別物と言える。まず、品種が変わっており、味の特徴も昔と違って、フルーツっぽく甘いものが多くなったのだ。

トマトが本格的に日本の市場で流通し始めたのは戦後(1950年代)だが、当時は露地(屋外の畑)栽培が中心で、文字通り夏にしか食べられない野菜だった。また、トマトは完熟すると傷みが早くなるため、十分に熟さない段階で収穫、出荷されていた。これが青くて硬いイメージにつながっていると思われる。

トマト自体の品種も大きく変わった。80年代までの品種(ポンテローザ、世界一など)は酸味が強く、独特の青臭い香りがあるのが特徴だった。そして85年、「フルーツ感覚の甘さ」と「完熟出荷」をセールスポイントにした新品種「桃太郎」が発売される。以来、桃太郎は順調に作付面積を伸ばし、現在ではトマト全生産量の約5割以上を占めるシェアを誇っている。

桃太郎の普及とともに、急成長したのが「ミニトマト」と「中玉トマト」だ。昔からあったが、あまり食用に使われなかったのだが、80年代に入って流れが変わる。フルーティーで酸味を抑えた新品種が登場したことがきっかけになり、サラダの彩りや弁当の付け合わせ用として使われ始める。その後も品種改良が進み、今では使いやすくておいしい食材として評価されている。

さらに言えば、トマトの食べ方が多様化したことも、「おいしい」という印象に影響を与えているようだ。

日本人のトマトの食べ方と言えば生食がメーンだった。まず洗ってヘタを取り、包丁で切ってそのまま「いただきます」というものだが、世界でトマトを生食しているのは日本などごく一部で、ほとんどの国では火を通すなど、加工して食べている。

たとえば、南米からトマトを導入して世界に広げた国として有名なスペインや、トマトを使ったメニューの豊富さで知られるイタリアでは、トマトは料理のベースとして煮込んで使うのが「王道」。さらにアジアの食の大国、中国でも、トマトと言えば溶き卵といためた「西紅柿炒鶏蛋」などが有名で、そのまま食べる人は少数派となっている。「日本人はトマトを生で食べる」と聞いた外国人は、「刺し身みたい」と珍しがるだろう。

日本では生食が多かったこともあり、酸っぱいトマトより、甘みの強いフルーツのようなトマトの方が食べやすい、という人が増えてきたと見られる。「生で食べて、甘みを感じておいしいトマト」が増えたためだ。一方、火を通して食べるトマト(加工用トマト)は、多くは酸味が強くて固く、そのまま食べておいしいという類のものではない。そうした品種も、加熱して食べると食べやすく感じられるのだ。

最近では、スープの材料にトマトを使ったラーメン店が人気を集めている。かつて「ラーメンにトマトはミスマッチ」というイメージもあったが、ここ数年で扱う店舗数は急増し、メニューとして定着しつつある。

トマトの「味」に関しては、他にも興味深いポイントがある。それは、トマトが持つうま味成分(グルタミン酸)についての研究だ。真っ赤に熟したトマトには豊富なうま味成分が含まれることが知られていて、料理の隠し味として使うという発想もここから来ていると思われる。つまり諸外国では、日本のコンブ、カツオといった材料で作る「だし」と同じような感覚でトマトを使うというわけなのだ。そう考えると、海外の市場で見かけるトマトがどれも真っ赤で、火を通して食べる品種が多いことも納得できる。

トマトに対する「おいしさ」が変化したことは分かったが、実際に店頭でトマトの選ぶ際には何に注目すればいいのだろう。

ハウス栽培の普及もあって現在は季節を問わずに買えるトマトだが、出荷の最盛期は真夏ではなく春と秋で、いわゆる「旬」も同様とされている。生産者によるとトマトは高温多湿に弱く、真夏は品質、味ともに今ひとつとのこと。この記事を執筆した8月下旬は北海道、東北産のトマトが多く並んでいるが、これは日本でも比較的低温で乾燥している地域というのが理由だそうだ。

近所の青果店店主に「おいしいトマト選びのコツ」を聞いてみたところ、面白い答えが返ってきた。まず一番のコツは「産地を見ること」。上述したように、その時期に出荷ピークを迎えた地域のものを選ぶことで、それだけでもある程度は判断できるそうだ。1個ずつチェックするのは到底無理なので、市場では産地と階級、等級くらいしか見ないとのこと。それでも「はずれ」を引く可能性が低いのは産地で選んだときだと言うから、これは間違いないだろう。

また、トマトの実についている「ヘタ」の状態で、だいたいの鮮度が分かると言う。実の色ツヤは判断材料になるが、ヘタに比べると見た目の変化が遅いので、お店では確認しづらい。ヘタがみずみずしく、ピンと張ったトマトを選ぶのもポイントだ。最近は定番の「桃太郎」以外にも、さまざま種類、大きさのトマトが販売されている。「甘い」「フルーティー」だけでなく、料理の材料に使うことも考えて水分を抑え、味の濃さを強調した品種もあるので、購入前にあらかじめ名前を調べて、目的に合ったトマトを選ぼう。なお、「あの懐かしい、昔のトマトが食べたい」と希望する人向けの品種(ファーストトマトなど)は今でも出荷されている。思い出補正で「あれ、こんな味だったっけ?」と感じるかもしれないが、最近のトマトとはひと味違うおいしさを発見できるはずだ。

トマトは生命力が強く、特にミニトマトは家庭菜園やベランダでも簡単に栽培できる野菜だ。水やりなどの管理を怠らなければ、夏から秋にかけて存分に「うちのトマト」を収穫して、味わいを堪能することができる。「トマトなんてどれも同じ」などと言わず、身近だが奥深いトマトの世界に触れてみてはいかがだろうか。

最後に、うまさ倍増、とっておきのかんたんトマトレシピを紹介しよう。題して、「中玉トマトのオーブン焼き」だ。

中玉トマト(フルティカ、シンディースイートなど)のヘタを取り、上下半分に切って、耐熱皿に並べる。フライパンにオリーブオイルをひき、みじん切りにしたニンニクとタマネギ、合いびき肉をいため、しょうゆ、塩・コショウで味を調える。トマト全体にオリーブオイルを回しかけ、いためたニンニク・タマネギ・ひき肉をのせ、パン粉、パルメザンチーズをふりかける。これを250度のオーブンで15~20分、こんがりと焼き色がつくまで焼き、バジルをトッピングする。

トマトを使った料理は多種多様だが、皮むきなどの手間が大変で、味付けも結構むずかしい。ただ、トマトは熱を通すと抜群にうまみが増す野菜。いつもの冷やしトマトに飽きた方は、ぜひ一度お試しあれ。

(ライター 林達哉)

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