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食の豆知識

昔はまずかった? トマト、フルーツ感覚で高まる人気

2019/9/8

総務省の家計調査では、野菜消費量が全体的に伸び悩む中、トマトの消費支出は年々増加している

さまざまなメディアで連日のように取り上げられるトマト。「美肌」「ダイエット」「アンチエイジング」といった効果が紹介されていることもあり、青果売り場での存在感は大きくなる一方だ。野菜消費量が全体的に伸び悩む中で、総務省の家計調査でもトマトの消費支出は年々増加傾向が続いている。その背景には、トマトの「おいしさ」が変化してきたことがあるようだ。

トマトについて、種苗会社のタキイ種苗が今年7月に行った調査によると、一番好きな野菜としてトマトを選んだ人は大人、子供ともに第1位で、名実ともにトップの座に君臨している。もちろん、世の中には一定数のアンチ(トマト嫌い)もいるのだが、その割合が特に小さいというのが人気の源泉だと言えるだろう。

家庭菜園向け品種の「ホーム桃太郎」

さて、トマトの人気は昔から根強かった印象がある。暑い夏の日、「冷やしたトマトに塩を振りかけて食べた」「畑の木からもぎ取って、そのままかじった……」といった思い出を持つ、中高年の人は多いはず。トマトは当時から、夏野菜の代表格として人気の食材だった。ただ、中高年層に当時の思い出を話してもらうと、「昔のトマトはまずかった」という声がよく聞かれる。青臭い、硬い、酸っぱいなど表現はさまざまだが、少なくとも現在売られているトマトとは「別物」だと感じられているようだ。

結論から言うと、昔のトマトと今のトマトはほぼ別物と言える。まず、品種が変わっており、味の特徴も昔と違って、フルーツっぽく甘いものが多くなったのだ。

トマトが本格的に日本の市場で流通し始めたのは戦後(1950年代)だが、当時は露地(屋外の畑)栽培が中心で、文字通り夏にしか食べられない野菜だった。また、トマトは完熟すると傷みが早くなるため、十分に熟さない段階で収穫、出荷されていた。これが青くて硬いイメージにつながっていると思われる。

トマト自体の品種も大きく変わった。80年代までの品種(ポンテローザ、世界一など)は酸味が強く、独特の青臭い香りがあるのが特徴だった。そして85年、「フルーツ感覚の甘さ」と「完熟出荷」をセールスポイントにした新品種「桃太郎」が発売される。以来、桃太郎は順調に作付面積を伸ばし、現在ではトマト全生産量の約7割を占めるシェアを誇っている。

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