ドライアイや脳の働きも左右 まばたきの意外な役割ストレス解消のルール(12)

日経Gooday

「まばたき」の仕方がドライアイやストレスと実は関係があるってご存じでしたか?写真はイメージ=(c)racorn-123RF
「まばたき」の仕方がドライアイやストレスと実は関係があるってご存じでしたか?写真はイメージ=(c)racorn-123RF
日経Gooday(グッデイ)

「まばたき」に注目したことはあるだろうか。まばたきが多ければ、神経質な印象を持たれたり、焦燥感を感じさせることがあるだろう。逆に、まばたきもせずに会話をすれば、相手に無言のプレッシャーを与えることもある。心理面で注目されがちな「まばたき」だが、「まばたきの仕方」が疲れ目やストレス、さらには集中力にも大いに関係があることが分かってきた。慶應義塾大学医学部特任准教授で、おおたけ眼科つきみ野医院(神奈川県大和市)の綾木雅彦院長を、健康ジャーナリストの結城未来が取材。その話から、仕事の効率とまばたきの関係を明らかにした。

◇  ◇  ◇

きっかけは綾木院長の一言だった。

――綾木院長「結城さんは、まばたきがちゃんとできていませんね」

意外なところを指摘されて驚いた。私は『照明を変えれば目がよくなる』という拙書もあるだけに、目の健康には人一倍気を使っているつもりだったからだ。当然、目を休ませるために、まばたきも意識していたつもりだ。

――綾木院長「正確に言うと、まばたきはしているのですが、不完全なのです。まぶたが完全に閉じていないので、こちらから見ると、まぶたを下ろしてもスキマから黒目が見えるんです」

通常、まぶたが閉じると同時に目玉は上へ上がるので、目は白目になっているものらしい。でも、私の場合はまぶたが閉じ切っていないので、残った黒目が見えているそうなのだ。

まばたきをしているのに、ちゃんとできていなかったのには気づいていなかったし、驚き以外の何物でもない。そもそも、「まばたきがちゃんとできているかどうか」ということを意識している人はそう多くはないだろう。

――綾木院長「結城さんに限らず、まばたきがちゃんとできていない人は多いですよ。まばたきをしても、まぶたが8割ほどしか閉じていない人をよく見かけます。患者さんには『ちゃんとまぶたを下ろして目を閉じてください』と指導していますが、本人は言われなければ分からないようですね」

意外に知らない「まばたき」の役割

なぜ、まぶたを完全に閉じてまばたきをしなければいけないのだろう?

――綾木院長「まばたきは、黒目の汚れをとる、いわば『ワイパー』なのです。まぶたをしっかりと閉じれば、眼球は上転するので黒目も上に上がり、まぶたが開くと眼球は下がる。こうやってまばたきのたびに眼球を拭き上げています。『角膜』にあたる黒目部分は、カメラでいえば『レンズ』。眼球に光を取り入れ、水晶体とともにピント調節を行う大切な役割を担っています。ただ、常に外気にさらされているため、ゴミが飛び込みがちです。まつげ、毛髪の切れ端、繊維クズが最も多く、羽虫、小枝、もみがらや葉っぱなど、目に入るゴミは多種多様。正常にまばたきができない人は黒目をキレイにできず、目に入ったゴミを取り除けないため眼球は傷つき、目の病気も招きやすくなるのです」

そういえば、目がゴロゴロする時には、盛んにまばたきをする。

――綾木院長「目のゴミの大部分は目薬などで洗い流さなくても、しっかりと大きくまばたきをすれば、取り除けるはずです」

原画=(c)Peter Lamb-123RF

試しに、目をキツく閉じてみた。確かに、目の表面の角膜が掃除されるせいか、気持ちが良い。少し目が潤うような感覚もある。

――綾木院長「まばたきには涙を循環させる役割もありますから、そう感じるのでしょうね。まばたきをすると、上まぶたの内側にある涙腺から涙が出てきて目の表面を潤し、目頭の内側にある涙点から鼻へ流れ出るという涙の循環がスムーズに行われます。また、乾いたところと濡れたところのムラがないように、均一に目の表面を潤す効果もあるので、ドライアイ予防にもなります」

ドライアイだと仕事の効率が低下!?

逆に、まばたきができていなければ目が乾きがちになり、傷つきやすく痛みが出るなど、見えづらくなるという。「まばたき」は、目の表面を守るために大切な役割を担っているのだ。私自身、ちゃんとまばたきができていなかったせいか、目がしみて痛みを感じることがある。

――綾木院長「まばたきが完全にできていない人は目が傷つきがちなので、結城さんのように目の痛みを訴える人も少なくありません。角膜は、知覚神経の塊。視力を守るために、異常があると分かるように痛覚が集中している敏感な部位です。この角膜のメンテナンスをする『まばたき』は、疲れ目やドライアイ防止にとても大切なのです。目表面の疾患分野についての研究・教育などを推進する、米国ボストンに拠点を置く国際的NPO組織TFOS(Tear Film & Ocular Surface Society)では、一般の人にまばたきの大切さを啓発するために歌を作っているくらいです。『みんな、恥ずかしがらずにまつげをぶつけてまばたきをしよう』といった内容です[注1]

[注1]“Blink around the World”(https://www.youtube.com/watch?v=gNJY51Nz-34)

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