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きちんとしたビジネス英語はマナーとしても重要。画像はイメージ=PIXTA

きちんとしたビジネス英語はマナーとしても重要。画像はイメージ=PIXTA

仕事で英語を使う機会が増えてきた。相手がネーティブ(ネイティブ)の場合、発音や聞き取りが心配になりがちだ。しかし、『ネイティブにほめられる英語』(ダイヤモンド社)を書いた西真理子氏は「まずは書く英語が肝心。英文電子メールの出来は出世も左右する」と、意外にも「書く英語」の重要性を説く。ネイティブに嫌われたり軽視されたりしにくい英語表現のコツを教わった。

TOEICだけでは対応できない

ビジネスパーソンの英語能力を推しはかるものさしとしては「TOEIC」が有名だ。社内の英語力評価ツールとして用いている企業も少なくない。しかし、外資系企業に勤め、ネイティブの上司と働いた経験の豊富な西氏は「TOEICだけで職場英語に対応しきれるわけではない」と指摘。TOEICスコアに表れにくい表現力や文法理解の大切さを訴える。

とりわけ、日本のビジネスパーソンが勘違いしがちな点に「スピーキングとリスニングの偏重」があるという。中学・高校で学ぶ機会が少なかったせいもあってか、大学生以降に英会話教室へ通って「話す・聞く」の能力を高めようとする人は珍しくない。

だが、西氏は「ビジネスの現場では英文メール(チャット、SNS含む)を使った文字による意思疎通のほうが多く、重要性も高い。まっとうな英文を書ける能力は仕事の成否を左右する」と、「書く英語」への取り組みを促す。「日本人の高学歴層には『書くのは大丈夫』と思い込んでいる人が少なくないが、実はそうでもない」(西氏)

実際のビジネスシーンでも、ネイティブ上司は非ネイティブの部下がしゃべる言葉にあまり目くじらを立てないという。ただし、英文のメールや報告書は別。書き英語のクオリティーが低いと「部下の能力そのものに問題があるのではないかと考え始める」(西氏)。書き方がまずいと「仕事を任せにくい」と考えがちだそうだ。反対に、ネイティブ級の言い回しができていると「特別な存在と認めてもらいやすくなる」(西氏)

本書で指摘されている「ネイティブ好み」の用法には、一般的な英語教材であまり目にしない事例も多い。なぜ教わる機会がないのか。西氏は「教える側がそもそも十分な知識や経験を持ち合わせていない」という。しかも「ネイティブのビジネスパーソンでさえ、ライティングは学ぶ。学校や生活からの学びでは足りない」と明かす。

使い分けのルールを知る

西氏がすすめているのは、ネイティブ並の表現力を備えろということではない。意識しているレベルは「ネイティブが強い違和感を覚えない程度にこなれた表現」。意思疎通がスムーズな英語は仕事を円滑に進めるうえで役に立つとみる。だから、ネイティブがイラッとしたり意味を取り違えたりしがちな「誤用」を避けるよう求めている。

たとえば、中学校で習う未来表現の助動詞「will」は日本人が乱用しがちな言葉だそうだ。将来の出来事にあらゆるケースで「will」を使うと、「ネイティブは違和感を覚えやすい」(西氏)。中学英語の教科書には書かれていない使い分けのルールがあり、別の表現「be going to」を使うほうが好ましい場合も多い。

「be going to」は既に実行が決まっていて、準備が整いつつあるような状態に使われる。一方、「will」は現時点での意欲を示す。だから、「思いつきに終わることもあれば、『やっときます』といったその場しのぎの返事にもなり得る」と、西氏は意味合いや用法の違いを説明する。

語感を取り違えて、使い分けを誤ると、ネイティブ上司が腹を立てるような事態も起こりかねない。「be going to」を使うべき場面で「will」を使うと、損をするケースだってあり得る。

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