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ヒマラヤ山中に800体「骸骨の湖」 分析で深まる謎

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ナショナルジオグラフィック日本版

インド、ヒマラヤ山中の人里離れた高地に、考古学史上でも屈指の謎に満ちた湖がある。直径30メートル強の湖岸からおよそ800人分もの人骨が見つかっている「骸骨の湖」ループクンド湖だ。この湖で、過去にいったい何があったのか。解明に挑んだ研究結果が2019年8月20日付けで学術誌「Nature Communications」に発表された。しかし結果は、その謎をさらに深めるものだった。

驚きの分析結果

2000年代の初めに予備的なDNA研究がなされ、ループクンドの死者たちは南アジアにルーツがあるという結果が出た。また、放射性炭素年代測定により、人骨は紀元800年頃のものとされ、全員が1回の出来事で亡くなったと考えられてきた。

しかし今回、38人分の人骨について本格的なゲノム解析を行った結果、これまで想定されてきたストーリーは覆された。新たな研究結果では、38人のうち23人は南アジアに祖先を持ち、紀元7世紀から10世紀にかけ、1回~数回の出来事で亡くなったと判明した。

ところが、14人は地中海のギリシャとクレタ島に遺伝的祖先をもつ人々だった。南アジアのグループが亡くなった約1000年後に、おそらく1度の出来事で命を落としたと考えられる。残る1人は東アジアにルーツがあり、地中海のグループと同じ時期に死んでいた。今回分析した人々は、誰も血縁関係はなく、南アジアのグループと地中海のグループは食生活が異なっていたことが、追加の同位体分析で確認された。

なぜ地中海からの集団がループクンドにいたのか、どのような最期を遂げたのかは明らかになっておらず、推測も難しい。

「ループクンドの人骨は遺伝的にどこから来たのかを明らかにしようとしていますが、なぜ地中海の人々が、はるばるこの湖までやってきて、ここで何をしていたのかはわかりません」と語るのは、論文の共著者で、インド、ラクナウにあるバーバル・サーニー古科学研究所の考古遺伝学者、ニラジ・ライ氏だ。

ループクンドの奇怪さは、プロでもうろたえるほどのものだ。1950年代、ある探検家はインドのラジオ局へのコメントの中で、この湖を「息をのむような、ぞっとする光景」だと表現した。ループクンドの人々は誰で、いつ死んだのか。多くの学者たちが、数十年にわたって解明に取り組んでいる。

彼らの死因は今も謎のままだ。争いによる死とは考えにくい。人骨は男女が交ざっており、武器や戦闘の痕跡は見つかっていない。死んだ時の健康状態も良好なため、伝染病の可能性もない。

怒った神が「鉄の玉」を落とした?

だが、死者たちの最期の様子が現地の民謡の歌詞に残されているとしたらどうだろう?

この地域では12年に1度、女神ナンダ・デヴィを崇拝する巡礼「ラージ・ジャート」が行われるが、民謡にはその際の王の行列の様子が歌われている。それによると、王の一行は踊り手の少女たちを連れてきて、神聖な場を汚した。怒ったナンダ・デヴィは、空から「鉄の玉」を落として一行を襲ったという。

ループクンドの死者たちについて、可能性の1つとして挙げられるのは、ラージ・ジャートの際に激しい嵐に遭遇して息絶えた巡礼者だというものだ。伝えられるところによると、王の行列に使われたのと同じタイプの日傘が人骨に交ざって見つかったという。また、人骨の中には頭蓋骨を骨折したものがあり、治癒した跡がないため、大きなひょうが原因の可能性がある。民謡で巡礼者たちの命を奪ったとされる「鉄の玉」だ。

このシナリオも含めて真偽を調べようと、今回、研究チームはループクンドの人骨をゲノム解析にかけた。人骨の人々が誰なのかは予想していなかったが、インドのヒマラヤの高地で、地中海に祖先を持つ人の証拠が見つかったのは驚きだった。

「DNAを見ていくと、南アジアに祖先を持つ典型的な人とは違う集団がいることが明らかでした」と、論文の共著者で、米ハーバード大学個体・進化生物学科の研究者、エーディン・ハーニー氏は振り返る。「どう見ても、全く予想していなかったものでした」

地中海のグループはラージ・ジャートの巡礼にやってきて、ループクンド湖に長く滞在し、そこで最期を迎えるはめになってしまったのだろうか? ドイツ、ハイデルベルク大学の人類学科長で、この巡礼に関する著書があるウィリアム・サックス氏は、こうした筋書きは「まったく合理的でない」と話す。

サックス氏はループクンド湖を3度訪れていて、直近では2004年にナショナル ジオグラフィックのテレビ番組の仕事で足を運んだ。同氏によれば、近代の巡礼において、この湖はほとんど無視されているという。

「ループクンドにたどり着く巡礼者は、みな急いでいます。まだまだ先は長いですから。その気があれば足を止めて、軽く敬意を示すことはありますが、今も昔も、巡礼そのものにとって大きな意味のある場所ではありません」とサックス氏。

研究チームは、ループクンドの謎の解明を進めようと計画を立てている。ライ氏によれば、2000年に新たな遠征隊が湖を訪れ、人骨と共に発見された遺物を調査するそうだ。

(文 Kristin Romey、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年8月25日付]

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