古代ロマンに興奮 墳丘や石室を見学できる古墳10選

■6位 石舞台古墳(奈良県明日香村)360ポイント
2000トン超える石室に圧倒

奈良県明日香村は古墳の宝庫だ。近くには壁画で有名なキトラ古墳や高松塚古墳などがあるが、「石舞台がやはり一番人気の観光スポット」(梅原章一さん)。

巨岩の石組みはもともと方墳の石室部分。墓があばかれ石室がむき出しになり、被葬者について取り沙汰されてきた。現在は7世紀に死んだ蘇我馬子というのが有力だ。

見る者を圧倒するのは、やはり巨大な石室。総重量は2000トンを軽く超え、「当時の土木技術の高さに驚く」(吉村さん)。「石室の長さ、天井の高さ、石の巨大さの3拍子でアジア最大級の横穴式石室。圧倒的な空間はとにもかくにも一度は体験すべし」(松木さん)。

(1)墳丘なし(2)可能(3)国営飛鳥歴史公園館(電話0744・54・2441)

■7位 黒塚古墳(奈良県天理市)340ポイント
貴重な三角縁神獣鏡が出土

黒塚古墳を世に知らしめたのは、第一級史料の三角縁神獣鏡が33面も出土したこと。展示館では「初期の竪穴式石室と鏡の発掘当時の様子が丁寧に復元されて勉強になる」(松本さん)。復元された石室、三角縁神獣鏡などのレプリカも見ることができ、「鏡好きにはたまらない」(川尻さん)。

黒塚古墳周辺は日本有数の古墳集中地帯。行燈山(あんどんやま)古墳、箸墓(はしはか)古墳など、古墳時代の始まりを告げる貴重な古墳が密集する。箸墓は各地の王が最初に擁立した大王の墓とされる。「墳丘を囲む堀越しに箸墓古墳を見た眺望は神秘性を感じる」(水谷さん)。

(1)可能(2)不可(3)天理市立黒塚古墳展示館(電話0743・67・3210)

■8位 造山古墳(岡山市)320ポイント
巨大さ、目と足で実感を

墳丘の長さが350メートルと全国4位の規模をもつ前方後円墳。立ち入りが自由な古墳としては日本最大で「前方後円墳の巨大さを目と足で実感できる」(松木さん)。

古代権力の象徴だった前方後円墳は畿内に多いが、古代吉備氏が治めた吉備(岡山県と広島県東部)にある造山(つくりやま)古墳と作山(つくりやま)古墳の2基も畿内の巨大墳墓に肩を並べる規模で「吉備の一大勢力の勢威を感じさせる」(水谷さん)。

近年の研究で、畿内にある巨大な前方後円墳と同じ様式や設計技術を使って造営されたことが明らかになった。古代吉備国と近畿との交流などに思いを巡らせるのも楽しい。

(1)可能(2)不可(3)岡山市埋蔵文化財センター(電話086・270・5066)

■9位 五色塚古墳(神戸市)260ポイント
墳丘の頂上から瀬戸内海一望

兵庫県最大の前方後円墳。1970年代半ばに築造当初の姿に復元された。古墳は丘の上に築かれ、方墳部が海の方に向いている。墳丘の頂上から瀬戸内海が一望でき、遠くに淡路島が見える。「海からの視覚を意識して造られているのがわかる。復元された墳丘は圧巻」(右島さん)

古墳のある場所は古くから水上・陸上交通の要衝として栄えた。古墳がこれを踏まえてこの地に造営されたのは明らか。大量の土を盛り上げ、拳大ほどもある自然石を葺石として多数並べた古墳の表面は、海上からはキラキラと輝いて見えたことだろう。「瀬戸内海の海上交通の要衝をおさえた王墓の威容が伝わる」(小林さん)。

(1)可能(2)不可(3)神戸市埋蔵文化財センター(電話078・992・0656)

■9位 森将軍塚古墳(長野県千曲市)260ポイント
支配者の思い伝わる景観

4世紀ごろに科野(しなの)国(長野県)を治めた有力者を葬った墓。近畿から東国に抜ける交通の要衝で、尾根の地形を利用したため後円部が楕円形にゆがんでいる。葺石をしきつめた墳墓はさながら「天空のピラミッド」。

「墳丘に立つと、被葬者が統治した一帯を見渡せ、ここを選んだ被葬者の思いが伝わってくる」(松本さん)。「古墳頂上に立ったときの景観が素晴らしい」(スソさん)

山のふもとにある古墳館では、実寸大に完全再現した東日本最大級の竪穴式石室を展示。「石室と映像がコラボレーションし、古代にタイムスリップした感覚が楽しめる」(吉村さん)。

(1)可能(2)不可(3)千曲市森将軍塚古墳館(電話026・274・3400)

見学は晩秋~早春がおすすめ カメラも欠かせず

「古墳の観察に最適な時期は晩秋から早春にかけて」と、国立歴史民俗博物館教授の松木武彦さんは言う。夏は石室内に蚊などの虫がいて、半袖・半ズボンだと岩石に触れて体が傷つく場合があるからだ。やむをえず夏に出かける場合は「防虫剤を持ち長袖で。レインコートがあると湿った石室内でも衣服の汚れを気にせず動ける」。

欠かせないのがカメラ。広角レンズで撮れば、大きな墳丘や広い石室もワンショットで収められる。墳丘を格好良く撮りたいなら「前方部の隅角からの構図が一番」(松木さん)。石室も、入り口、天井、奥壁など撮影ポイントを押さえておけば、あとで他の石室と比較して楽しめる。

「進研ゼミ 小学講座」の空閑(くが)彩子さんは、子どもにオススメの楽しみ方として「見ること、触ること」を挙げる。資料館によっては、鏡や腕輪などのレプリカや土器に触れたり、勾玉(まがたま)や埴輪などの製作体験ができたりする。「実際に体験することで、遠い過去の時代の人々が身近に感じられ、歴史をより深く理解できる」(空閑さん)

◇ ◇ ◇

ランキングの見方 数字は専門家の評価を点数化。名称(所在地)。(1)墳丘への立ち入り(2)石室見学(柵越し、ガラス越し含む)(3)関連の施設(問い合わせ先)。写真は1、2位三浦秀行、5位小川望撮影、ほかは所在地の教育委員会もしくは各施設の提供。

調査の方法 古墳に詳しい専門家の協力で国内の主要な古墳をリストアップ。「学問的価値が高い」「墳丘への立ち入りや石室見学など実地で体験できる」「資料館が充実している」の観点から専門家が1位から10位まで順位付けし、編集部で集計した。(木ノ内敏久)

今週の専門家 ▽梅原章一(古墳写真家)▽川尻秋生(早稲田大学教授)▽空閑彩子(「進研ゼミ 小学講座」教材開発担当)▽小林健二(山梨県立考古博物館学芸課長)▽スソアキコ(古墳好きのイラストレーター)▽松木武彦(国立歴史民俗博物館教授)▽松本弥(古墳ライター)▽右島和夫(群馬県立歴史博物館館長)▽水谷千秋(堺女子短期大学教授)▽森村宗冬(古墳ライター)▽吉村靖徳(九州歴史資料館文化財調査室長)=敬称略、五十音順

[NIKKEIプラス1 2019年8月31日付]

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