パパの育児、会社が応援 悩み共有の場・社内で学童…

日本IBMの「こがも学童クラブ」で、山口社長(左)が読む絵本に聞き入る子どもたち

日本IBMは今年8月、社員の子供向けに学童プログラムを初めて実施した。社員の「夏休み中に子供を会社に連れて来られるとうれしい」との声に応えた格好だ。科学技術の習得を目指す「STEM」教育や英会話練習などを用意した。連日約30人の児童が参加し、学校の授業とは異なるプログラムに熱心に取り組んでいた。

中でも子供たちに好評だったのが山口明夫社長のいる「社長室訪問」。子供たちから「社長って何をする仕事ですか」「僕のパパはちゃんと仕事していますか」など鋭い質問が相次いだ。山口氏は「質問に答えるのは、社員に事業について説明するよりも難しかった」と打ち明ける。参加した児童の一人は「僕も将来、日本IBMで社長になりたい」と夢を膨らませていた。

ITエンジニアの秋原史記さんは小学校3年生の長女を参加させた。秋原さんは「妻も働いており、夏休みに子供を家に独りで留守番させるのは不安だった。学童プログラムは社内で開かれ、気になったら様子を見に行くこともできて安心だ」と話す。同社によると、秋原さんのように子供のいる男性社員が積極的にプログラムを利用する例が目立ったという。

企業が男性の育児を支えるいろんな取り組みが登場する一方で、日本総研の池本美香主任研究員は「中小企業には動きが広がりにくいのではないか」と指摘する。「男性の育休義務化を提唱する議員連盟が立ち上がるなど、男性の育児を後押しする機運は盛り上がってきた。ただ、人手不足が深刻な企業にとっては実行は難しいのが現状だ」と話す。

男性の育児に詳しい家事シェア研究家の三木智有さんは「どんな勤務先の男性も家庭でもっと子育てに携われるようになればいい。そのためにはテレワークなどの環境整備が重要だ」と語る。

■脱・「手伝い」へ情報共有を ~取材を終えて~
「共働きなので、平日は早く帰宅して子育てを手伝っています」――。子供を持つ男性らがしばしば口にするのに疑問を抱いた。自分の子供でありながら「手伝う」という言葉が出るのはなぜだろうか。
家事シェア研究家の三木さんは「男性側が育児に主体性を持てないのは、女性側から子育ての権限が移譲されていないことも一因」と指摘する。日本では育児に関する情報が妻に集まりやすく、「夫が情報格差に引け目を感じがち」。そこで「妻と夫が話し合い、育児のルールを共に作る」よう勧めているという。
総務省の労働力調査によると、女性就業率は2018年、50年ぶりに5割を超えた。男女とも子育てができて、かつ働きやすいと感じる社会の実現には、話し合いに時間を惜しまず、家族のルールを作ることが重要だと感じた。
(山下美菜子)
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