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広がる民間の障害者雇用 さらなる増加、ITに期待

2019/9/3

チンゲンサイの出荷調整の作業をする「ひなり」の社員(浜松市南区の京丸園で)

民間企業で働く障害者が増えています。障害者が担える仕事の幅を広げることで、従業員に占める割合の下限である法定雇用率(2.2%)を大きく上回る企業も出てきました。

厚生労働省の調べによると、従業員が45.5人以上の企業で働く障害者の数は2018年6月時点で約53万4千人。前年同期に比べ7.9%増え、15年連続で過去最高を更新しました。身体障害者、知的障害者、精神障害者のいずれも増え、特に精神障害者が前年比34.7%増と大きく伸びました。

雇用に貢献しているのが「特例子会社」です。事業主が障害者の雇用に特別の配慮をして設立した子会社で、一定の要件を満たせば親子合算で「実雇用率」を算定できます。18年6月時点で486社にのぼり、多様な業務を手掛けています。

例えば、10年に発足した伊藤忠テクノソリューションズの特例子会社、ひなり(東京・千代田)は浜松市の農家と連携し、農作業を請け負っています。農作業の工程を分解して効率を上げつつ障害者の仕事を創出する手法は「ひなりモデル」と呼ばれ、追随する動きもあります。主要なオフィスでのマッサージや清掃といった業務がもう一つの柱です。渡辺香織社長は「名刺作りやデータ入力などIT(情報技術)を活用してさらに業務を広げたい」と話します。

雇用拡大に向けITへの期待が高まっています。野村総合研究所グループが上場企業と特例子会社を対象に18年8~10月に実施した調査(複数回答)では、特例子会社(200社)の66.5%が、IT導入で「業務効率の向上や質の向上が期待できる」、49.7%が「新しい職域の拡大が期待できる」と答えました。一方、「障害者が今まで取り組んできた業務がなくなる」は21.3%でした。名武和代主任研究員は「新技術には正と負の両面があり、上手に使いこなして障害者の可能性を広げてほしい」と強調します。

障害者雇用はさらに増える見通しですが、企業や国、自治体が積極的になる中で、人材の獲得競争が激しくなったとの声もあります。人材サービス大手のエン・ジャパンが18年8~9月に実施した調査では回答企業(408社)の29%が障害者を雇用していませんでしたが、その理由(複数回答)では「募集しているが、採用できない」との回答が27%で、17年調査の4%から急上昇しました。

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