「そろそろ水を買い替えた方がいいわね」――。8月終わりのある夕方、筧家のダイニングテーブルでは、良男と幸子が9月1日の「防災の日」を前に防災用品の確認をしています。そこへ、大学時代の先輩とごはんを食べに行っていた恵が帰宅しました。
筧恵 ただいまー。先輩、戸建て住宅を購入したんだって。で、来月入居するそうなんだけど、地震保険に入るべきかどうか迷っているそうよ。「ファイナンシャルプランナーのお母さんからアドバイスがほしい」と言われたの。お母さん、相談に乗ってあげてよ。
筧幸子 おかえり。確かに地震多発国の日本に住んでいるんだから、家を買うとなると地震保険に入ろうかどうか悩むわよね。契約件数は増えてはいるけど、保険料が高いので加入をためらう世帯も少なくないのよ。そもそも、地震保険は単独では加入できないしね。
恵 へぇ、知らなかったな。じゃあどうすれば入れるの?
幸子 地震保険は火災保険に加入した上で、付帯して入る保険なのよ。地震保険を付けている人の割合を「付帯率」というのだけど、損害保険料率算出機構によると2018年度の付帯率は全国平均で65.2%ね。11年度に50%を超えて、毎年徐々に上昇しているのよ。付帯率は地域によっても大きく違っていて、18年度は宮城県の86.8%が最高で、最低は長崎県の50.1%だったわ。
筧良男 地域ごとの地震リスクの大きさなどが付帯率に影響しているんだな。確か、地震保険はどの損害保険会社で入っても内容は同じだったよな?
幸子 そうよ。11年の東日本大震災では地震保険の保険金支払額が約1.3兆円に上ったわ。大地震が来ることを想定すると、保険会社だけではリスクを背負いきれないの。国が負担の一部を引き受けていて、共同運営しているから商品性が一緒なのよ。