『ジャック・ライアン』現代に復活 ドラマ版が好発進
2019年7月 海外ドラマ月間レンタルランキング
ベストセラー作家、トム・クランシーの代表作である「ジャック・ライアン」シリーズ。元海兵隊員・金融マンで、現在は米中央情報局(CIA)の辣腕分析官であるライアンが実際の現場に立ち、テロリストと戦う人気作が初ドラマシリーズ化され、レンタルでも好調なスタートを切った。TSUTAYA海外ドラマ月間レンタルランキングの7月度では、8位に初登場した。
「ジャック・ライアン」シリーズは、『レッド・オクトーバーを追え!』(1990年)、『パトリオット・ゲーム』(92年)、『今そこにある危機』(94年)、『トータル・フィアーズ』(2002年)、『エージェント:ライアン』(14年)と、過去5回にわたって映画化。アレック・ボールドウィン、ハリソン・フォード、ベン・アフレック、クリス・パインと、その時代の人気俳優がライアンを演じて話題を呼んだ。
今回のドラマシリーズ版で5代目ライアンを演じるのは、映画『クワイエット・プレイス』で出演・監督・脚本・製作総指揮を手がける多才ぶりで脚光を浴びたジョン・クラシンスキー。本作でも製作総指揮を兼ね、思い入れの強さを見せる。現場での不慣れな任務に戸惑いつつも、次第に使命感に燃え、テロリストとの戦いに身を投じていくライアンを熱演。一見地味にも感じさせる男が、テロリスト相手に死力を尽くす姿は共感を呼ぶ。一方で、過去の判断ミスに今も苦しみ、恋人には自分の正体を明かせずに悩むなど、等身大のヒーローとしてのキャラクターも際立たせている。
ストーリーはこうだ。緻密な分析と粘りで世界の情報をチェックするCIAの"T-FAD(テロ資金・武器対策課)"の分析官ジャック・ライアンは、イエメンでの不審な資金移動から、近く大規模なテロが起きる可能性をつかむ。新任上司グリーアの命令で、共に現地へ飛んだライアンは拘束した人物を尋問。しかし、その真っ最中に基地がテロリストの襲撃を受け、容疑者の男は逃亡。その後、男は大物テロリストのスレイマンだったと判明する。ライアンは知略の限りを尽くし、テロリスト追跡を開始する。
ドラマシリーズ版は、原作シリーズの魅力である国際情勢を反映したリアルな設定や緊迫感は継承。全8話でじっくりとストーリーを描ける特性を生かし、舞台を現代に移して、欧州の難民問題や中東での紛争などの問題を反映。敵のスレイマンも、ただのテロリストではなく、空爆の犠牲や人種・宗教差別を受けたことでテロリストに転じた過去を抱えるなど、登場人物のバックグラウンドを色濃く描写。より現実感や社会性を高めている。
大スケールのアクションも見せ場が満載。製作総指揮のマイケル・ベイが得意とする派手な爆破シーンや銃撃戦、追跡戦などが、映画並みの迫力で展開する。映画『トランスフォーマー』シリーズなどの大ヒット作を連発するマイケルだけに、ド派手なアクション場面はさすがの仕上がりだ。
早くもシーズン3の製作が決定
製作総指揮には主演を兼ねるジョン・クラシンスキーに加え、ドラマ『LOST』『ベイツ・モーテル』のカールトン・キューズ、ドラマ『FRINGE/フリンジ』『プリズン・ブレイク』のグレアム・ローランドら辣腕のヒットメーカーが名を連ねている。
TSUTAYA マーケティングカンパニー UX・MD部 映像レンタルの後藤信之氏によると、本作をレンタルするユーザーは8割が男性で、60代がメインだが、40~50代からも支持されている。「7月下旬のリリースながら、月間8位に入る好スタートを切りました。ランキング上位を既発のシリーズが占めたなかで、新作で一番レンタルされています。原作や映画化による知名度が高いことに加え、現代の国際情勢を反映した内容も見応えがあり、今後の伸びが期待できます」
本作は2018年からAmazonプライム・ビデオで配信がスタート。早くもシーズン3の製作が決定しているとあって、人気はしばらく続きそうだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
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