検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

まさかこんな所でこの人に 奇遇恐るべし

立川談笑

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

これは弟子の吉笑と交互に連載する「マクラ」エッセーです。今回は「奇遇」、つまり「偶然の出会い」がテーマです。たまにありますよね。「まさか、こんな所でこの人に会うなんて!」っていう出会いが。「奇遇」はいつも感動的です!

「ねえねえ。ちょっと聞いて。こないだ、驚いちゃったの!」「どうしたの?」

「吉田マチコさんって、きっと知らないよね。昨日、駅でバッタリ会っちゃったのよ!」「えー、誰それ? 有名人?」

「有名だけど、たぶん知らないと思う。けど、すごい偶然なの!」「どしたのどしたの?」

「えーとね。ホラ、あたし若いころ和歌山で会社を立ち上げたじゃない? ベンチャーで。『絶対ムリだから!』って言われてたのを、その吉田マチコさんが……駆け出しの経営アドバイザーだったのね。その人が、『間違いないから、やりな!』って後押ししてくれて。で、始めた会社がわりと軌道に乗ったところで、彼女から今度はいきなり真逆のアドバイスをされて、『えー!』って思ったけどそれに乗ったのよ。それが大きな転機で、今の私があるってワケ。あの頃若かった吉田さんも大出世しちゃってさあ! それが、今日だけ、ホントに今日だけ! 台湾からたまたま日本に帰って来てたんだって。そんな二人がそこの駅で会ったんだよ。すごいと思わない?」「あー、うん。…そ、そうだね」

と、このように。「偶然の出会い」を語る場合、本人は大いに感動していても聞かされる人にとっては「ああ、考えれば確かにすごいけど。…んで?」ってなる点が問題です。そこを自覚した上で、これから私の話をします。

喫茶店で、駅のホームで、自宅前で…

いくつか列挙してみます。皆さん、「…んで?」のご用意を。

〇半蔵門の喫茶店に入ったら、志らく師匠がいた。

〇JR中野駅の中央・総武線ホーム。乗ろうとしたドアから神田松之丞さんが出てきた。

〇地下鉄新御茶ノ水駅のホームに下りたら、師匠談志がいた。

〇自宅の前の道路で「おーい! 談笑~!」の声に振り返ると小倉智昭さんだった。

こんなのがいくらもあります。さて、そろそろ本気の「…んで?」が連続する偶然遭遇エピソードを披露します。

話がスタートするのは、瀬戸内海の因島。ご当地ゆかりの村上海賊にまつわる祭の取材でのことでした。きっかけは、ベストセラーの時代小説『村上海賊の娘』。著者の和田竜先生にインタビューするのが目的です。

在りし日の村上水軍を再現して、夜の瀬戸内海を照らすかがり火とともに、勇壮な舟が行き来する。そんな祭の魅力は、ひとまず置いといて。

まず驚いたのは、当代の村上氏当主というのが女性だったことです。まさに村上海賊の「娘」じゃないか! 和田先生ご自身も当代が女性とはご存じなかったとか。奇遇だ!

その夜、尾道に戻って、祭の打ち上げという名の飲み会にお邪魔すると、集う人々の中に小説家先生、海賊の娘本人。そして奥から「どうもぉ!」と見覚えのあるおじさんが笑顔を見せました。んー、誰だっけ……思い出した! 新潮社刊のかつての雑誌『考える人』の偉い編集の人、河野通和さんだー。いや、でもちょっと待てよ。『村上海賊の娘』とは出版社が違うぞ。なぜここにいるんだろ?

「実はこちら、私の家内なんです」。な、な、なんだあー!!!?

正体は「海賊夫婦」、その仲間は…

さあ、ここから奇遇と混迷が加速します。河野さんの奥様こと、村上海賊の当代の娘さんは日本映画の大プロデューサーでした(ここは余談)。夫である河野さん本人は、グレイトかつ紳士的な編集者のような顔をしながら、実はかつての河野水軍の当主でもあるのだ、と。つまり、村上水軍と河野水軍。当主と当主。海賊と海賊。海賊夫婦か! いやあ、本来の目的であるインタビューや収録もそこそこに、存分に食べて飲んで楽しい時間を過ごさせていただきましたよ。

いやいや、話は終わりません。この奇遇ばなしはまだ続きます。数か月して、その新潮社を退社された河野さんが、かの糸井重里さんが関わる大きなイベントの中で古書店を出しておられる、と、カミさんからラインが来ました。「ぜひ行った方がいい!」。場所は恵比寿ガーデンプレイス。

むー、恵比寿かあ。六本木、中目黒、広尾、白金。そういったセレブな香りが立ち込める地域には、なるたけ近寄りたくないんだよぉ。「だって大好きな浅生鴨(あそうかも)さんが、そのブースにいるかもって。まだいるかも」とカミさん。かも、かも、かも。了解しましたかも。

「浅生鴨さん」とは、小説家です。かつてツイッターの「NHKの中の人」としても人気を博した、ユーモアと深い信念を備えた才人です。私は、有名人に自分からすり寄っていくのが苦手な性質なので、かなり及び腰でそのブースに向かいました。

テントには河野さん。そしてその横にいる、サングラスの人が目的の浅生鴨さんと思われます。そこで、意外な言葉を掛けられました。「どうもぉ! お久しぶりです!」

なんだ? 何なんだ!? 話をして、わかりました。1年前にNHKの番組ロケで一緒だった人だ! そうだそうだ! 番組制作にも関わる人ってこと、ですか。あ、あ、あ? そういうこと、なのね?

浅生鴨さん側としても、まさに「談笑さんに新刊『どこでもない場所』の帯コメントをもらいたいねえ」と出版社と相談していた折だったとのことです。なんたる奇遇ー! いやあ、こんなことって本当に、あるんですよね…(稲川淳二さん風に)。

では皆さん、ご一緒に。「…んで?」

立川談笑
1965年、東京都江東区で生まれる。高校時代は柔道で体を鍛え、早大法学部時代は六法全書で知識を蓄える。93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名、05年に真打ち昇進。近年は談志門下の四天王の一人に数えられる。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評があり、十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。

これまでの記事は、立川談笑、らくご「虎の穴」からご覧ください。

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_