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映画監督・脚本家 三谷幸喜氏

映画監督・脚本家 三谷幸喜氏

映画監督や脚本家、劇作家など、様々な顔を持つ三谷幸喜さん(58)。映画「ラヂオの時間」やテレビドラマ「真田丸」など、作品を手がけるたびに話題を集めるヒットメーカーだ。大勢の俳優やスタッフをまとめ上げて作品を完成させる手腕への評価も高いが、本人は「できればリーダー役から逃げ回りたかった」と語る。そんな三谷さんが考えるリーダー像とは。

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――理想とするリーダーはいますか。

「取材を受けておいて何ですけど、僕は全くリーダーには向いていない、リーダーになりたくなくて、ここまで来た人間なのです。ともかく、責任のあるところに立つのが嫌なんです。そもそも、脚本家はリーダーではないですからね。強いて言うなら副リーダーが好きで、新選組なら近藤勇より土方歳三が好きです。脚本家というのは、監督がいて、そこにサブとしてつく立場です」

「三国志などの歴史が好きですが、やっぱり軍師好きで、諸葛孔明とか周瑜が一番好きですね。人の上に立つ人では、ダメなんです。そばにいてアドバイスをする、客観的に色々なことを見て、的確なアドバイスをするというポジションが『一番格好いい』と小学生のころから思っていました。生徒会長にはならなかったけど、副会長を歴任していました。昔から、そうなんですよね」

役者の人生、責任負えない

――リーダーの補佐役が好きなのですか。

「それで脚本家を選んだようなものですから。とにかく、皆の人生を背負っていくポジションには、なるべく就かないよう、これまで生きてきたつもりです。だけど、学生時代に劇団をつくったときに、座長には絶対なりたくなかったのですが、流れでやらなきゃいけなくなって、しょうがなく何年かやりました。でも『生まれ変わったら、絶対に劇団の座長にはなりたくないな』と今でも思います」

――具体的に何が苦手だったのですか。

「まず、皆を引き連れて飲みに行くのが嫌い。僕は『個』が好きなので、集団が嫌なんですよ。劇団仲間で新宿などに飲みに行くのですが、1軒目が終わって『2軒目、行こうか』って徒党を組んで歩くのが本当に嫌で、ちょっと1回姿を消して、遅れて次の店に行ったりしていました。並んで歩くのも嫌だった。皆チンタラ歩くから『さっさと行こうよ』と声をかけたりして、それくらいリーダーが嫌なんですね」

人間関係が煩わしいし、面倒くさい

「劇団をやっていると、様々な悩みを聞いたり、劇団員同士でケンカになったり、恋愛関係がもつれたり、そういうものも耳に入ってきたり、入ってこなかったりします。そういうのも煩わしいし、面倒くさい。人間関係を脚本などの物語としてつくる分にはいいですけど、『お前とお前がこの人を取り合ってたのか、何で僕は入っていないんだ。感じ悪い奴らだな』と心の中で思ったりしていました」

「ただ、そうはいっても、『彼らのおかげで僕も育ててもらって、深いものが書けるようになった』という思いがあります。劇団がメジャーになって『今後どうするか』となったときに、座長ですら嫌なのに、事務所をつくって社長になんて、僕には絶対にできないので『解散しかない』と思いました。皆にそう話したら、びっくりしていましたけど」

「僕は恩返しとして、劇団員それぞれが入りたい事務所、興味のある事務所を聞いて、一緒にあいさつに行って、全員が希望の事務所に入ったところで解散したんです。リーダーとしてやれたのはそれくらいかな、という感じですね」

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