メガネスーパー、月1000円で子ども用定額サービス
眼鏡専門店「メガネスーパー」などを傘下に持つビジョナリーホールディングスは、2019年6月26日から子供向けにメガネのサブスクリプション型サービスを開始した。「こども安心プラン」で、12歳以下(小学6年生まで)の子供が対象だ。同社の予想を上回るペースで利用者が増えており、「6月26日から7月末までの期間で子供向けのメガネの販売件数は前年比で1.5倍に増えた」(ビジョナリーホールディングスのマーケティング事業本部 シニアエキスパート、宮森修仁氏)という。
「こども安心プラン」の料金は月額1000円(税別、以下同)。小学6年生以下の子供向けのメガネ購入時に同プランに加入すれば初期費用はわずか1000円で済む。月々1000円を支払えば、レンズやフレームの交換が必要なときには1回3000円からという安価な費用で済むのが、このプランの特徴。フレーム、レンズの大半はそれぞれ3000円で交換可能だ(一部、5000円や通常の販売価格の半額で提供する商品など例外もある)。
解約はいつでも自由だが、解約時までに支払った月額費用の合計が、同プランを利用しないでメガネを購入した場合を下回る場合は、差額を解約金として徴収するルールだ。例えば、通常の販売価格が2万7000円のメガネを購入した場合は、2年3カ月間加入して月額1000円を支払い続けていれば、解約金は発生しない。
追加支出への不安を解消
同プランと通常の購入を比較した「モデルケース」が上記の図だ。「通常購入」の場合、毎年レンズやフレームを交換するという試算では3年間で9万6800円を支払うことになる。一方の「こども安心プラン」では5万1000円。4万円以上もお得になる。サブスクリプションサービスといっても、メガネを定額で何回でも交換し放題という訳ではないが、親にとっては、子供の成長に合わせてレンズやフレームを交換することへの費用面での安心感は高まる。
「お子様は成長に合わせて本来、半年に1回くらいの頻度で目に合ったレンズに変えるべきだ。しかし、現実には2年に1回くらいになっている」と宮森氏。子供はメガネが目に合っているかを自分で判断するのは難しいし、親も費用の心配などがあり、ついつい子供のメガネが目に合っているかのチェックを忘れがちだ。
同プランで費用面の心配を取り除けば、「メガネスーパー」に来店しやすくなり、子供の目とメガネが合っているのかを気軽に検査しやすくなる。お客との接触頻度を高めれば、商品を購入する可能性が高まるというのは、営業のセオリーだ。来店してくれれば、子供向けのサングラスなどが新たに売れるかもしれない。また、子供は親と一緒に来店するので、親がメガネやコンタクトレンズを買い替える機会も増えるはずだ。
そして長期的に期待できるのは、子供客の将来に渡っての囲い込みだ。メガネスーパーの強みは、「眼の健康寿命を延ばすアイケアカンパニー」(宮森氏)として、検査に1時間といった時間を掛けて丁寧に、顧客に合ったレンズを選ぶ提案力にあるという。
将来の客=子供を囲い込む
「目に合ったメガネを使うことの快適さを若いうちから実感していただければ、10代後半や20代の頃に低価格チェーンのメガネに一度は流れたとしても、いずれは当社に戻ってきてくださるはず」(宮森氏)と同社では期待する。
また、今回導入したサブスクリプションサービスは小学6年生までしか加入できないが、解約しなければ自動更新が続き、大人になっても継続される設計だ。無論、将来的にはサービス名称の変更も必要になるが、うまくいけば、現在の子供客が大人になった後も顧客としての関係が維持できるという。
(日経クロストレンド 水野孝彦)
[日経クロストレンド 2019年8月22日の記事を再構成]
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