上場子会社、深刻化する一般株主の軽視(安東泰志)ニューホライズンキャピタル取締役会長

例えば「上場子会社の独立社外取締役には、業務執行を監督する役割を果たすための執行陣からの独立性に加え、一般株主の利益を確保する役割も期待されるため、親会社からの独立性も求められる」(指針6.3.2)、「親会社は、上場子会社の独立社外取締役の選解任権限を行使するに当たっては、上場子会社のガバナンス確保に十分配慮するべき」(指針6.3.3)、「上場子会社の指名委員会は、上場子会社の企業価値向上にとって最適な経営陣の指名が行われるよう、親会社からの独立性が実質的に担保されるべき」(指針6.4.3)などだ。

東証が定めたコーポレトガバナンス・コ-ドでも「上場会社がその役員や主要株主等との取引を行う場合には、そうした取引が会社や株主共同の利益を害することのないよう、また、そうした懸念を惹起することのないよう、取締役会は、あらかじめ、取引の重要性やその性質に応じた適切な手続きを定めてその枠組みを開示するとともに、その手続を踏まえた監視を行うべきである」(原則1-7)としている。

ヤフーと第2位株主のプラス(東京・港)がアスクルの業績不振と株価低迷を問題視するのは当然ではあるが、両社は岩田社長のみならず3人の社外取締役までも事実上解任した。これは明らかに「実務指針」とコーポレートガバナンス・コードに反するばかりか、真っ向から否定する行為とみることもできる。8月5日のアスクルの発表によれば、これら大株主2社を除く一般株主からは社外取締役の再任に9割以上の賛成を得ていた。

ヤフーはソフトバンクグループが親子上場させた携帯事業会社ソフトバンクの子会社だ。ソフトバンクグループとして親子上場と少数株主の利益保護について投資家の懸念にどう対応するかが問われているといえる。

デサントTOB、一般株主に不利

アスクルとヤフーの対立に先立つ3月14日、伊藤忠商事によるデサントへのTOB(株式公開買い付け)が成立した。6月20日の株主総会で創業家の石本雅敏社長は退任し、その後の取締役会で伊藤忠の小関秀一氏が新社長に就任した。

もともと伊藤忠はデサントの30%強を持つ筆頭株主だったが、9%強の株数を上限とするTOBによって40%を保有する株主となった。株主総会での議決権行使率を勘案すると伊藤忠は事実上過半数の議決権を持つことになり、デサントの経営を支配することができる。

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