育休中、弁理士試験に合格 新たなキャリア開く武器に

日経DUAL

資格の存在が転職の大きなアドバンテージに

その後、西田さんは、ついに弁理士の短答試験に合格します。職場復帰後に論文試験、口述試験にも合格し、実務修習も経て、晴れて弁理士資格を取得しました。

日々の業務が劇的に変わることはなかったそうですが、精神的には大きな変化がありました。

「私にとって弁理士の資格は、お守りのような存在です。仕事を続けていく上での自信につながったのはもちろん、『将来、どこに夫が転勤になっても何とかなる』と思えるようになったのは、非常に大きかったですね」

弁理士のように、特許に関わる仕事は、実はとてもグローバル。海外から日本に出願するケースがあるだけでなく、逆に、日本で出願してから、中国やアメリカに出願するケースも少なくないからです。西田さんはその後、二人目の子どもを出産したタイミングで、夫について渡米しました。その際には、現地でもまた、育休を利用して資格取得を目指したといいます。

夫について渡米した際に資格取得を目指す(写真はイメージ=PIXTA)

「日本の弁理士資格はアメリカでは使えませんので、アメリカの特許制度を学び、現地で資格取得できればと考えました。結果は伴いませんでしたが、知識の幅がグンと広がった実感はありました」

育休を「学びのチャンス」と捉え、スキルアップをし続ける西田さん。その頑張りは、その後のキャリアにも大きな影響を与えることになります。

「帰国後、任期付きだった特許庁の契約が満了となったので、就職活動を始めました。その際、弁理士の資格がアドバンテージとなり、次の就職先がすぐに決まりました。現在は、IT業界に特化した特許業務法人で、特許出願などの業務を担当しています」

西田さんにとって、弁理士の資格は、どこへ行ってもできる仕事に就くお守りのような存在でした。しかし、それは同時に、新たなキャリアを切り開く武器となったのです。育休中に勉強を再開し、子育てと両立しながら超難関資格に挑戦したことは、大正解だったと語ります。

「ママであっても、夫の転勤があっても、やっぱり私は働いていたかったんですね。資格取得はそのための手段です。ただ、一方では、自分を追い詰めてまで、資格取得のために勉強する必要はないとも思っています。たとえ資格が取れなかったとしても、育休中に頑張って学んだ知識やスキルを生かすチャンスは、いずれ巡ってくるはず。焦る必要はないと思います」

(取材・文 佐野勝大)

[日経DUAL 2019年5月7日付の掲載記事を基に再構成]

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