中国で大失敗、海外事業は50点 国際化の肝は現地化カルビー元会長 松本晃氏

僕は商社にいた経験もあるので、海外では現地の人にやらせなきゃだめだという確信があります。日本人は国内では優秀でも海外ではどうか。言葉はしゃべれず、一生懸命働かない人も多いと思っていました。これはトップも含めてです。それに人件費も高い。

日本と海外では、宗教も文化も含めてあらゆるものが違います。サウジアラビアに行ったら、お酒は一滴も飲めないし、時間になったらみんなお祈りを始める。だからサウジではサウジの人、英国では英国の人、中国なら中国の人というふうに現地の人に任せたほうがいいに決まっています。これも僕の経営スタイルである権限委譲のひとつです。日本人でも努力して結果を残している人は、もちろんいますよ。だから一概には言えないところもあるんですが、いずれにしても海外の事業を任せる人材選びは大事です。

僕がCEOをやっていた時代のカルビーの海外事業に点数を付けるなら、いいとこ50点です。うまくいった事業も、そうでない事業もあります。僕がいた間に海外事業の規模は金額で10倍ぐらいになったんじゃないかと思います。ただ、年商1兆円企業という夢からすると、もっと成長しないといけなかった。一方で「現実的に考えれば、そんなもんだろう」という思いもあります。

ビジネスでは全部勝つなんてことはありません。勝ったり負けたりして、差し引きでどれだけ勝っているかが重要なんです。相撲の世界と同じです。15戦全勝なんて、横綱白鵬だってめったにできません。だいたい合格点は11勝4敗だと思っています。15日間戦ったら4回ぐらいは負ける。それでも相当優秀です。11勝4敗を続けたら、横綱にはなれないとしても、大関には間違いなくなれる。そういうことです。

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松本晃
1947年京都府生まれ。京都大学大学院修了後、伊藤忠商事入社。93年にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)日本法人に転じて社長などを歴任した。2009年にカルビーの会長兼最高経営責任者(CEO)に就任。停滞感のあった同社を成長企業に変え、経営手腕が注目されるようになった。11年には東証1部上場を果たし、同社を名実ともに同族経営会社から脱皮させた。18年に新興企業のRIZAPグループに転じ、1年間構造改革を進めたのも話題に。

(ライター 猪瀬聖)

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