中国で大失敗、海外事業は50点 国際化の肝は現地化
カルビー元会長 松本晃氏
松本晃氏はカルビーの会長兼最高経営責任者時代、国際化に力を注いだ
プロ経営者の松本晃氏は、カルビーの会長兼最高経営責任者(CEO)時代、日本国内に「安住」していた感のある会社をグローバルな食品メーカーへと脱皮させました。ただ、他の改革と違い、思うにまかせないことも多かったようです。日本企業のグローバル化に立ちはだかる壁は何なのか。松本氏が失敗も含めて振り返ります。
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日本での成長、シェア拡大のほかに道なし
会長に就任したとき、海外に力を入れるという方針を決めていました。日本だけみていては成長できません。人口が増えない、子どもも増えない、しかもデフレ。これで市場が大きくなるはずないからです。それでも国内で成長しようと思えば、シェアを上げるしかない。つまり他人のものを取ってくるしかないんです。
そういう訳で、国内ではシェアの拡大が基本戦略でした。社員には「よその会社のことなんか知ったことではない。とにかくシェアを取れ」と発破をかけました。これがそこそこうまくいって、シェアは大きく上がったんです。
ただ、全体のパイが大きくならないんだから高が知れています。スナック市場は横ばいだったので、まだましでした。ですが、市場そのものが縮小している分野もたくさんあって、社員はみんな本当に苦労していました。売上高を何とか維持しようと新商品もたくさん出していましたね。
カルビーを仮に年商3000億円、利益400億円程度の会社にするだけなら、国内だけでよかったのかもしれません。でも僕の夢は違ったんです。カルビーを年商1兆円、利益2000億円の会社にしたかった。だから海外を目指したわけです。
じゃあ、どこに出るか。米国と中国で3分の1ずつ、残りの3分の1をその他の国で、というのが大まかな計画でした。中国には、2012年に合弁会社をつくって進出しました。ところが、これが大失敗。原因をひと言でいうと、僕たちが中国を知らなすぎた。特に致命的だったのは、商品の選び方を間違えたことです。