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食の豆知識

被災したらパン作りが必要な理由 ポリ袋だけで簡単に

2019/9/1

ポリ袋を使い生地を作り、オーブンを使わずに焼いたパン

9月1日は「防災の日」。その前後は防災週間として各地でさまざまな防災イベントが行われる。この時期に食料備蓄や災害時の食について見直す家庭も多いのではないだろうか。

昨年起きた北海道胆振東部地震では地震発生後に「パン」のレシピ検索が急増するという興味深いデータがあった。今回はその背景を探るとともに、災害時にライフラインが制限されたときもできるパン作り、食材備蓄のポイントについて紹介する。

料理レシピ投稿・検索サービスを運営するクックパッドでは、2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震において、震源地からおよそ75キロ圏内、震度5弱以上の揺れを観測した地域のレシピ検索・閲覧データの分析を行った。

ユーザーがどんなキーワードでレシピを検索したかという調査では、地震発生当日は「ご飯」「鍋」「土鍋でご飯」「白米」「炊き方」というワードが上位5位を占めた。これは北海道全域で大規模停電が発生し、炊飯器が使えなくなったため、土鍋や圧力鍋などを使ってコメを炊く方法が検索されたと思われる。

ところが、その2日後以降の8日と9日には検索ワードの2位に「パン」がランクイン。1位は「簡単」というワードで、「ご飯」「白米」などはランク外になった。

震災発生3日前の検索数と比較した「検索増加率ランキング」では「手作りパン」が3位に。その他、「ベーキングパウダーなし」「ホームベーカリー」「手捏(こ)ねパン」などのワードも急上昇した。また、「パン」と合わせて検索されていたワードとしては「フライパン」「牛乳なし」などであることがわかった。

2018年の北海道胆振東部地震では札幌の繁華街・すすきのでも長く節電が続いた=PIXTA

これらのキーワードを総合して考えると被災地域の方々は「パンを使った料理」を知りたいのではなく、「パンの作り方」そのものを知りたいということが分かってきた。どうやら停電によってパンの生産・入荷が止まり、スーパーなどで品薄になったようである。

しかし、私はちょっとふに落ちないところがあった。パンを食べたい気持ちも分からないではないが、こんな非常時に手間のかかるパンなんて作らなくてもいいではないか。どんな家でもコメの備蓄くらいあり、それが震災後2日で底をつくとも思えない。

「パンがなかったらケーキを食べればいいじゃない」と言ったマリー・アントワネットのように(実は言っていないという説もあるが)、正直なところ「パンがなければご飯を食べればいいじゃない?」と思ったのである。

その疑問をクックパッドにぶつけてみると、非常に納得できる答えが得られた。

食や暮らしのトレンドを発信する「クックパッドニュース」の編集部が災害医療スペシャリストの石井美恵子さんを取材したところによると、当時被災地ではコメが品切れになって手に入らなかったとのこと。農家では玄米の状態で備蓄している家庭も多く、停電で精米機を動かせなければコメがないも同然。白米を買うしかなく、スーパーなどでコメが品切れになった。そのためご飯の代わりにパンを作ろうという発想になったのではないかということである。

なるほど、こうした話を聞くと食材はただやみくもに備蓄しておくだけではダメなのだなと考えさせられる。「電気が止まった場合」「ガスが止まった場合」などライフラインの状態を想定しながら、そんな状況の中でも調理して食べられるような備えが必要だ。

そうすると実は「パン」は防災時の主食として「ご飯」よりもアドバンテージがあるように思う。なぜなら、パンはコメに比べて少ない水で作ることができるからだ。コメは炊く前に水を使ってとがねばならず、水道が止まった際には備蓄してあるペットボトルの貴重な水を使うのがはばかられる。「私は絶対にご飯党!」という人は「無洗米」を備蓄しておこう!

それでは、防災の日をキッカケに電気・ガス・水道がすべて止まった場合を想定して、パンを作ってみよう。教えていただいたのは『ポリパン! ポリ袋でつくる、オーブンのいらない世界一かんたんなパン』(学研プラス)などの著書がある梶晶子さん。梶さんはポリ袋で生地を作るパン「ポリパン」の考案者で、その普及を行う一般社団法人ポリパンスマイル協会の代表理事である。東北、熊本などの被災地でも「ポリパン」作りを教えてきたという。

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